二級建築士受験資格とは?要件と取得方法を徹底解説

2024年10月1日

二級建築士 受験 資格

国家資格である二級建築士。建築のプロであり、住宅の設計を行うことが可能で、建築士だけでなく、さまざまな仕事でそのスキルを活かすことができます。

しかし、二級建築士の資格取得のハードルは決して低くなく、受験そのものも誰でも受けられるわけではありません。

では受験のためにはいったいどんな資格が必要なのか、この記事では、二級建築士の受験資格について詳しく解説します。

二級建築士とは

二級建築士 とは

二級建築士は、建築物の設計や工事監理を行う専門家として認められた国家資格です。

一級建築士よりも規模の小さい建築物を対象とし、主に住宅や小規模な商業施設の設計・監理を担当します。

この資格は、建築業界で働く上で重要な役割を果たし、キャリアアップの足がかりとなることも多いです。

二級建築士の業務範囲は、木造建築物では床面積500平方メートル以下、鉄筋コンクリート造などの非木造建築物では300平方メートル以下の建築物の設計・工事監理となっています。

また、高さ13メートル以下、軒の高さ9メートル以下の建築物も対象となります。

二級建築士試験の受験資格

二級建築士 受験資格

二級建築士の受験資格は令和2年3月1日に施行された「建築士法の一部を改正する法律」により、一部改正されました。改正後の受験資格についてご紹介します。

学歴

詳細は後述しますが、二級建築士試験の受験資格は、学歴によって大きく異なります

大学、短期大学、高等専門学校において指定科目を修めて卒業した場合、卒業後すぐに受験資格を得ることができます。

一方、高等学校・中等教育学校で指定科目を修めて卒業した場合も受験資格を得ることができますが、免許登録時には2年以上の実務経験が必要です。

指定科目とは、建築計画、建築構造、建築設備、建築施工などの建築に関する専門科目を指します。

これらの科目を履修することで、建築に関する基礎的な知識を身につけることができます。

実務経験

実務経験は大学または高等専門学校で指定科目を修めて卒業した場合、また建築設備士の資格を持っている場合は不要です。

一方、高校または中学校で指定科目を修めて卒業した場合は2年以上、建築に関する学歴がない場合は7年以上の実務経験が必要です。

改正前、試験の受験前に所定の年数の期間、建築設計、工事監理、建築工事などの業務に従事する必要がありました。

一方、改正後は必ずしも試験前に実務経験を積んでおく必要はなく、たとえば試験に合格してから実務経験を積んだり、実務経験を積んでいる途中であっても試験を受けることが可能になりました。

建築設備士の資格保有者

先述した通り、建築設備士の資格を持っている場合、実務経験を積まずに二級建築士試験の受験資格を得ることができます。

建築設備士は、建築物の設備に関する専門家として認められた資格であり、二級建築士と同等以上の知識と技術を有していると判断されるためです。

建築設備士は建築物の電気設備、給排水設備、空調設備、昇降機などの建築設備の設計と工事監理を行う仕事で、建築基準法や関連法規、設備関連の規格に基づいて、設備の設計・施工が適切に行われるよう監督します。

建築士が建築物全体の設計・監理を担当するのに対し、建築設備士は建築物の設備に特化した設計・監理を行うという違いがあるといえるでしょう。

【詳細】学歴別の受験資格要件

受験資格要件について、学歴別に詳しく解説します。

大学・短期大学・高等専門学校を卒業している場合

大学、短期大学、高等専門学校を卒業した場合の受験資格要件は、指定科目の履修状況によって異なります。

基本的には指定科目を20単位以上獲得している場合には実務経験の必要は無くなりますが、異なるのは免許登録資格に必要な実務経験年数です。

40単位取得している場合には実務経験0年ですが、30単位の場合は卒業後1年、20単位の場合は卒業後2年の実務経験が必要となります。

高校・中学校を卒業している場合

高校や中学校を卒業している場合も指定科目の履修状況によって受験資格要項が異なります。

指定科目を15単位取得して卒業した場合、卒業後1年間の実務経験で受験資格が得られ、卒業後3年で免許登録資格が得られます。

一方、20単位取得した場合は受験資格を得るための実務経験は必要ありませんが、免許登録資格を得るためには卒業後2年の実務経験が必要となります。

職業訓練校に通った場合

職業訓練校でも必要な単位を取得することができます。

職業訓練校の場合、高校卒業後に入校した場合と中学卒業後に入校した場合で受験資格要項が異なります。

高校卒業後の入校の場合、20単位以上の単位取得で実務経験は不要になります。

一方、免許登録資格を得るためには20単位取得の場合、修了後2年の実務経験が必要。

30単位取得した場合は修了後1年の実務経験が必要です。

受験資格を得るための方法

二級建築士の受験資格を得るための具体的な方法についてご紹介します。

指定科目の履修

二級建築士試験の受験資格を得るためには、指定科目の履修が重要となります。

指定科目には、建築計画、建築構造、建築設備、建築施工、建築法規などが含まれます。

これらの科目を履修することで、建築に関する基礎的かつ包括的な知識を身につけることができます。

大学や専門学校などの教育機関で指定科目を履修する場合、カリキュラムに沿って体系的に学ぶことができます。

一方、独学で指定科目を学ぶ場合は、国土交通省が公開している指定科目の内容を参考に、計画的に学習を進めることが重要です。

また、オンライン講座や通信教育を利用して、効率的に指定科目を学ぶ方法もあります。

指定科目の履修は、単に受験資格を得るためだけでなく、将来の建築士としての実務に直接役立つ知識を習得する機会でもあるため、積極的に取り組むことが大切です。

実務経験の積み方

実務経験を積む方法は、建築関連の企業や設計事務所に就職し、実際の業務に携わることが一般的です

設計業務、施工管理、工事監理など、幅広い分野の経験を積むことが重要です。

特に、建築物の設計や工事監理に直接関わる業務は、二級建築士としての実践的なスキルを養うのに適しています。

また、大規模なプロジェクトだけでなく、住宅や小規模建築物の設計・施工にも携わることで、多様な経験を積むことができます。

実務経験を積む際は、単に時間を過ごすだけでなく、積極的に新しい技術や知識を学び、責任ある立場で業務に取り組むことが重要です。

さらに、建築関連の資格や講習会に参加することで、実務経験の質を高めることもできます。

実務経験は、二級建築士試験の受験資格を得るだけでなく、将来の建築士としてのキャリアを築く上でも重要な基盤となります。

受験資格の証明方法

受験資格の証明方法は、学歴や実務経験によって異なります。

学歴の証明には、卒業証明書や成績証明書が必要となります。

特に、指定科目の履修状況を示す書類が重要です。実務経験の証明には、勤務先からの証明書が必要となります。

この証明書には、勤務期間、業務内容、役職などの詳細な情報が記載されている必要があります。

また、フリーランスや自営業の場合は、業務内容や期間を示す契約書や業務報告書などの提出が求められることがあります。

建築設備士の資格を持っている場合は、資格証の写しを提出します。

受験資格の証明は、試験申込時に必要となるため、事前に必要書類を準備し、不備がないか確認することが重要です。

また、証明書類の発行には時間がかかる場合があるため、余裕を持って準備を進めることをおすすめします。

二級建築士の勉強スケジュールの例

二級建築士 勉強 スケジュール

二級建築士試験の勉強スケジュールは、個人の状況や学習スタイルによって異なりますが、一般的な例を紹介します。

まず、試験の約1年前から準備を始めるのが理想的です。

最初の3ヶ月は、基礎知識の復習と全体的な学習計画の立案に充てましょう。

次の6ヶ月間は、各科目(建築計画、建築法規、建築構造、建築施)の集中学習期間とし、1ヶ月ごとに科目を変えて学習します。

試験の3ヶ月前からは、過去問題の演習と弱点の補強に重点を置きます。

最後の1ヶ月は、総復習と模擬試験に充てます。学習時間は、平日は2〜3時間、休日は4〜6時間程度を確保することが理想的です。

ただし、仕事や家庭の状況に応じて柔軟に調整することが重要です。

また、学習方法も、テキストだけでなく、オンライン講座や勉強会への参加など、多様な方法を組み合わせることで効果的な学習が可能になります。

定期的に学習の進捗を確認し、必要に応じてスケジュールを調整することも忘れずに行いましょう。

受験資格取得から試験までの流れ

受験資格取得から実際の試験の流れをご紹介します。

受験申込の方法と必要書類

二級建築士試験の受験申込は、通常、インターネットを通じて行います。

申込期間は例年4月上旬から中旬までで、この期間内に必要事項を入力し、受験料を支払います。

申込時に必要な書類は、受験資格を証明するものです。

具体的には、学歴証明書(卒業証明書や成績証明書)、実務経験証明書、資格証の写し(建築設備士の場合)などが含まれます。

これらの書類は、スキャンしてデータ化し、申込フォームにアップロードする形式が一般的です。

初めて受験する場合は、受験資格の審査があるため、書類の準備には特に注意が必要です。

また、申込後に受験票が発行されるまでには数週間かかることがあるため、余裕を持って手続きを行いましょう。

試験までの準備期間の目安

二級建築士試験までの準備期間は、個人の状況によって異なりますが、一般的には6ヶ月から1年程度が目安となります。

受験申込が完了してから試験日までは約3ヶ月間あります。

この期間を効果的に活用するためには、計画的な学習が不可欠です。

まず、試験の2〜3週間前までに全科目の学習を一通り終えることを目標とします。

その後は、過去問題の演習と弱点の補強に集中します。

試験の1週間前からは、総復習と本番を想定した模擬試験を行い、時間配分や解答テクニックを確認します。

準備期間中は、学科試験と設計製図試験の両方に備える必要があります。

学科試験は7月上旬、設計製図試験は9月下旬に実施されるため、この間の約2ヶ月半を設計製図の集中学習期間とすることができます。

設計製図試験は実践的なスキルが求められるため、この期間に多くの課題をこなし、制限時間内で的確な図面を作成する能力を磨くことが重要です。

二級建築士資格に関するよくある質問

二級建築士 よくある質問

二級建築士の受験資格に関するよくある質問をご紹介します。

受験資格を得たい場合のおすすめの学校は?

二級建築士の受験資格を得るためのおすすめの学校は、建築学科を有する大学や専門学校です。

特に、国土交通大臣が指定する建築に関する科目を十分に履修できるカリキュラムを持つ学校が理想的です。

例えば、東京大学工学部建築学科、京都大学工学部建築学科、早稲田大学理工学部建築学科などの大学が挙げられます。

これらの大学では、建築設計、構造力学、建築史、都市計画など、幅広い分野を学ぶことができます。

専門学校では、日本工学院専門学校、東京デザインテクノロジーセンター専門学校、HAL東京などが人気です。

これらの学校は、より実践的なカリキュラムを提供し、在学中に二級建築士試験の受験資格を得られるコースを設けています。

また、社会人向けの夜間コースや通信教育課程を提供している学校もあり、働きながら資格取得を目指す方にも適しています。

学校選びの際は、カリキュラムの内容、教員の実績、就職支援体制、資格取得サポートなどを総合的に検討することが重要です。

また、オープンキャンパスや学校説明会に参加し、実際の授業や施設を見学することで、自分に合った学校を見つけることができるでしょう。

受験資格を得るためにはどれくらいの時間と努力が必要?

受験資格を得るために必要な時間と努力は、個人の学歴や経歴によって大きく異なります。

建築学科の大学を卒業した場合、卒業と同時に受験資格を得られるため、追加の時間は必要ありません。

一方、高校卒業後に受験資格を得る場合は、最低3年の実務経験が必要となります。

実務経験を積む過程では、単に時間を過ごすだけでなく、積極的に様々な業務に携わり、実践的な知識と技術を習得することが重要です。

通常の勤務時間に加えて、自己学習や資格取得のための勉強時間も確保する必要があります。

平日は1〜2時間、休日は3〜4時間程度の学習時間を確保することが理想的です。

また、建築に関する学歴がない場合は、7年以上の実務経験が必要となります。

この間、業務と並行して建築に関する基礎知識を独学や講座などで学ぶ必要があります。

このケースでは、より長期的かつ計画的に努力していくことが求められます。

受験資格を得るための努力は、単に資格取得のためだけでなく、将来の建築士としてのキャリアを築く上でも重要な過程です。

そのため、日々の業務や学習を通じて、建築に関する幅広い知識と技術を着実に身につけていくことが大切です。

二級建築士の資格を活かせる仕事は?

二級建築士の資格は、建築業界で幅広く活用されています。

設計事務所や建設会社、ゼネコンなどで、設計や工事監理の業務に従事することができます。

また、リフォーム業界やハウスメーカー、不動産業界などでも、二級建築士の資格が求められるケースがあります。

資格を活かして、建築物の品質確保や安全性向上に貢献することができます。

また、CADオペレーターとしての需要もあります

二級建築士は建築設計の基礎知識を有していることが証明されるため、CADソフトウェアを使用して正確な図面を作成する能力が期待されます。

また、建築法規や構造計算の理解があることから、設計者の意図を正確に図面化できる点も評価されます。

さらに、二級建築士の資格を持つCADオペレーターは、単なる製図作業だけでなく、設計プロセス全体への理解があるため、より責任のある業務を任されやすくなります。

これにより、キャリアアップの機会も増え、将来的には設計者としての道も開かれる可能性があるといえるでしょう。

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まとめ

二級建築士の受験資格取得は、建築業界でのキャリアを築く上で重要なステップです。

学歴や実務経験に応じて適切な方法を選択し、計画的に準備を進めることが大切です。

受験資格の取得から試験合格まで、長期的な視点を持って取り組むことが求められますが、その過程で得られる知識と経験は、将来の建築士としての活動に非常に役立ちます。

建築は社会のニーズや技術の進歩とともに常に変化しています。

そのため、二級建築士を目指す過程で得た学習習慣や探究心を大切にし、資格取得後も最新の知識や技術を吸収し続けることが重要です。

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