Civil 3D完全ガイド!土木設計を効率化する方法を解説

2024年12月27日

Civil 3D

建設業界や土木業界から注目されているCivil 3Dは、設計をはじめとするさまざまな業務を効率化してくれると評判です。気になってはいるけれど、具体的にどのような機能が備わっているのか、使いこなすためには何から始めたらいいのかわからない方も多いかと思います。

そこで、この記事ではCivil 3Dの定義や8つの機能、導入するメリットから勉強方法までを網羅的に解説します。

Civil 3Dとは

Autodesk Civil 3D
出典:https://www.autodesk.com/jp/products/civil-3d/overview

Civil 3Dは、オートデスク社が提供する土木設計専用のCADソフトウェアです。道路設計、土地造成、上下水道のインフラ整備などに対応できるため、土木設計やインフラ構築の効率化ツールとして、建築や土木業界から注目を集めています。

そんなCivil 3Dの機能や特徴、Auto CADとの違いをここでは説明します。

主な機能と特徴

Civil 3Dの主な機能としては、設計プロセスの一元管理が挙げられます。例えば、地形データを取り込んでモデル化し、そこから道路や排水路を自動的に設計することが可能です。

また、BIM/CIMをサポートしているため、設計データの3次元モデル化を通じたプロジェクト全体の精度向上も期待できます。特に地形解析や水理解析に強く、設計工程で必要となる計算やシミュレーションを効率よく行うことができます。

AutoCADとの違い

AutoCADが汎用性の高い設計ソフトウェアとして知られる一方で、Civil 3Dは土木設計に特化している点が特徴です。両者の主な違いとしては、以下の3点が挙げられます。

  • 土木設計向け機能
  • BIM/CIM対応の範囲
  • 設計変更の柔軟性

AutoCADでは2Dおよび3Dの設計が可能ですが、Civil 3Dは専用のツールセットを備えていて、土木設計に特化しています。地形データや断面図の自動生成など、土木設計に不可欠な機能が標準装備されているため、より専門性が高いのが特徴です。

また、Civil 3DはBIM/CIMプロセスを強力にサポートしていて、設計情報をモデルに統合して関係者間で共有するのも容易です。一方のAutoCADは図面作成が中心であり、BIM対応機能は極めて限定的です。

設計変更の柔軟性の点で見ると、AutoCADでは関連する図面を手作業で更新しなければなりません。それも、Civil 3Dでは変更内容が自動で全体に反映されるため、作業効率が格段に高いと言えます

このように、Civil 3Dは土木設計やインフラプロジェクトを効率的に進めるという点においては、AutoCADよりも特化しています。プロジェクトや設計が大規模で複雑であるほど、その真価を発揮してくれるでしょう。

Civil 3Dでできる8つのこと

Civil 3Dでできる8つのこと

Civil 3Dは、土木設計のあらゆるプロセスを効率化するための強力なツールであり、さまざまな機能を備えています。ここからは、Civil 3Dで実現できる具体的な機能を8つ紹介します。

サーフェスの作成

Civil 3Dでは、地形データをもとにしたサーフェス(地形モデル)を作成可能です。例えば、点群データや衛星データ、測量データを取り込んで三角形分割(TINモデル)で正確な地形を再現できます。

このサーフェスは、プロジェクト全体の基盤となるため、設計の出発点として重要な役割を担っています。さらには可視化や解析も可能で、地形の勾配や排水経路を確認する際に活用する業者も少なくありません。

平面線形と縦断図の作成

道路設計や河川計画においては、平面線形や縦断図の作成が欠かせません。それもCivil 3Dであれば、これらを自動で生成することができるのです。

平面線形であれば曲線やクロソイド曲線の設計を簡単に行え、縦断図では地形や道路高を比較して最適な設計案を作成してくれます。これによって設計変更が生じた場合にも、リアルタイムで関連データが更新されるため、手作業のミスを大幅に削減可能です。

土地の算出と比較

土地区画の算出や体積計算は、造成設計において非常に重要なプロセスです。設計前後の土量を算出する際にはCivil 3Dが活躍し、切土や盛土のバランスを最適化してくれます。

これによってコストを抑えた設計案を立案可能です。さらに、複数の設計案を比較することで、プロジェクト全体の効率性を高めることもできます。

アセンブリ活用

Civil 3Dのアセンブリ機能を使えば、道路やインフラ設計がさらに効率化されます。アセンブリとは、道路断面の部品を組み合わせたものを指し、これをプロジェクトに適用することで、断面形状を一括管理できるようになります。

車線幅や歩道、排水路などの要素を設定しておくことで、設計の変更時にも自動で反映されます。

グレーディング機能を活用した造成設計

地形をもとにした造成設計を効率化できるグレーディング機能では、傾斜角度や高さといった特定の基準を設定するだけで、複雑な土地の整地計画も瞬時に作成できるようになります。

傾斜の安全性や排水の効率性をシミュレーションしながら設計を進められるため、実際の施工を見据えた精度の高い設計が実現されます。

各モデルの設計

Civil 3Dでは、道路モデルや上下水道モデル、さらに橋梁やトンネルなどの複雑な構造物も設計可能です。各モデルは相互に連携していて、変更が発生した際にも自動的に他の図面やモデルに反映されるため、修正の手間を大幅に省けます。

例えば、道路設計で縦断勾配を変更しても、それに応じて関連する排水モデルも更新されるため、修正に時間がかからないだけでなく設計ミスを防ぐこともできます。

他ソフトとの連携

他のオートデスク製品や外部ソフトとシームレスに連携できるのもCivil 3Dの強みです。一例としては、AutoCADと併用して詳細図を作成したり、Revitを使って構造設計と統合したりすることができます。

また、IFC形式でデータをエクスポートできるため、他社製ソフトとのデータ共有もスムーズです。Civil 3Dの柔軟性の高さが、プロジェクト全体の効率化に貢献していると言っても過言ではありません。

BIM/CIMプロジェクトでの活用

Civil 3Dは、BIM/CIMに対応していて、設計データを3次元モデル化してプロジェクト全体で共有することができます。これによって施工者やクライアントとの連携がスムーズになり、設計意図を正確に伝えられます。

コリジョンチェック機能を活用して設計上の干渉箇所を事前に確認すれば、施工中の問題発生の予防にも効果的です。

Civil 3Dを使用するメリット

Civil 3Dを使用するメリット

Civil 3Dにはさまざまな機能が備わっていて、土木設計やインフラプロジェクトにおいて必須ツールとなりつつあることがわかりました。ここからは、Civil 3Dを活用することで得られる具体的なメリットを3つ紹介します。

設計作業が効率化される

Civil 3Dを導入する最大のメリットと言えば、何と言っても設計作業の効率化です。従来の設計プロセスでは、手作業でのデータ更新や図面作成に多くの時間を費やしてきました。

しかし、Civil 3Dに搭載されているダイナミックデザイン機能を用いれば、たとえ設計変更が発生しても、関連する図面やモデルに自動的に修正が反映されるのです。さらに、地形モデルや土量計算も簡単に行えるため、設計プロセス全体のスピードが大幅にアップし、設計者は本来の業務に集中できるようになります。

コラボレーションが合理化される

Civil 3Dは、チーム全体でのコラボレーションを効率化する機能を備えています。クラウドプラットフォームを活用すれば、プロジェクト関係者が設計データを共有しながらリアルタイムで作業を進行可能で、情報の伝達ミスや作業の重複が削減されます。

さらに、BIM/CIMプロセスをサポートしているため、施工者やクライアントとの連携も容易です。設計段階から3次元モデルを活用すればプロジェクト全体の透明性が向上し、関係者間での認識のズレを未然に防げるようになります。

他のソフトとの互換性が高い

Civil 3Dは、他のオートデスク製品や外部ソフトウェアとの互換性が高い点も評価されています。詳細図の作成やデザインの調整をスムーズに行いたいのであれば、AutoCADとの連携が効果的です。また、Revitを使用して構造設計や建築モデルと統合すれば、設計プロセス全体を最適化できます。

また、異なるソフトウェアを使用しているプロジェクト関係者がいても、IFC形式でデータをエクスポートすればスムーズな情報共有が可能です。Civil 3Dの柔軟性の高さは、複数のツールを使用する現場では非常に重宝されるもので、業務効率改善に大いに役立ちます。

Civil 3Dを活用した成功事例

Civil 3Dを活用した成功事例

Civil 3Dは、土木設計に特化した強力な設計ソフトウェアとして、道路設計から河川整備まで、さまざまな現場で導入されています。ここでは、具体的な成功事例を4つ紹介します。

道路設計での活用

ある道路設計プロジェクトでは、Civil 3Dのダイナミックデザイン機能を用いたことで、従来の2D設計で時間がかかっていた平面線形や縦断図、横断図の作成を効率よく作成できました。

また、サーフェス機能を活用して道路周辺の地形モデルを正確に再現し、切土と盛土のバランスを最適化したことで、施工コストの削減にも成功しています。地形データを基に道路の縦断勾配を調整すれば関連する図面が自動更新されるようになった点も、効率化に成功した要因のひとつです。

河川・砂防プロジェクトでの導入

河川整備プロジェクトでは、Civil 3Dの水理解析機能を活用して排水計画をシミュレーションした結果、最適な設計案が迅速に導き出されるようになりました。河道の勾配や断面を調整しながら、流量計算や浸水リスク評価を同時に行えるようになったことで、設計の精度も向上しています。

さらに、BIM/CIMモデルを導入して施工業者と3Dデータを共有できたことで、施工段階でのミスや修正を大幅に削減できた事例もあります。

シニア世代がマスターした事例

シニア世代の技術者が、Civil 3Dの習得によって設計業務を効率化した事例もあります。この事例では、長年の経験を持つベテラン技術者が、研修を通じてCivil 3Dの基本操作を習得し、これまで手作業で行っていた設計や修正作業を自動化できたのです。

特に地形モデルの作成や道路断面の設定にCivil 3Dを活用したことで作業時間は従来の半分以下になり、結果的にプロジェクト全体の納期を大幅に短縮できました。

若手が活躍できるようになった事例

ある建設会社では、若手設計者がCivil 3Dを導入することで活躍の場を広げた事例があります。これまでベテラン技術者による指導が必須だった設計業務も、Civil 3Dのインターフェースと豊富なテンプレートを用いれば、若手でも短期間で実務レベルのスキルを身につけられることが証明されました。

複数の設計案を比較・検討する際にはシミュレーション機能が役立ち、設計の質やチーム全体の生産性が向上したことで、この企業では若手中心のプロジェクトチームが編成されています。

Civil 3Dの導入に必要な情報

Civil 3Dの導入に必要な情報

Civil 3Dにはメリットが多く、建設業界や土木業界などのプロジェクトで多々活用されています。そんなCivil 3Dですが、導入を検討する際には、事前に確認すべきポイントがいくつかあります。ここでは最低限押さえておきたい3つの情報を解説します。

動作環境

推奨されているハードウェアとソフトウェア環境を整えることで、Civil 3Dをスムーズに稼働できます。オートデスク社が推奨する最低スペックは以下の通りです。

  • OS:Windows 11またはWindows 10(64ビット)
  • プロセッサ:3GHz以上の4コアCPU
  • メモリ:16GB(推奨:32GB以上)
  • ストレージ:16GB以上の空き容量
  • GPU:DirectX 12対応の専用GPU(4GB以上のVRAM推奨)

大規模なプロジェクトに着手する際や3Dモデルのレンダリングを多用する際には、ハイエンドなGPUと十分なメモリが必須です。動作環境の詳細については、公式サイトのサポートページから最新情報を確認しましょう。

日本仕様の入手方法

Civil 3Dの日本仕様バージョンは日本語に完全対応していて、国内の一般的な土木設計基準にも適合しているため、スムーズに使用できます。この日本仕様版は、オートデスクの公式サイトまたは認定販売代理店を通じて入手可能です。

トラブルに備えて、導入時には日本国内でサポートを受けられるよう、認定代理店からの購入がおすすめです。設定から操作説明まで、さまざまなサポートサービスを受けられるため、安心して利用できます。

導入コストとライセンス形態

Civil 3Dは、ライセンス形態がサブスクリプション形式で提供されていて、1年、3年、そして月単位と3つの選択肢のなかから選べます。2024年現在、1年ライセンスの価格は約30万円ですが、3年の長期契約を選べばトータルコストを抑えられるかもしれません。

継続できるかどうか不安な方は、まず短期契約を結んで試用し、満足できれば長期ライセンスへの移行を検討してみると良いでしょう。

Civil 3Dを学ぶ3つの方法

Civil 3Dを学ぶ3つの方法

Civil 3Dの知識を今から身につけたいと思っても、何から始めたら良いのかわからないという方も少なくないかと思います。そこでここからは着実に知識を身につけていける3つの方法を紹介します。

Autodeskの公式トレーニングツール

Autodeskが提供する公式トレーニングツールは、Civil 3Dの王道の勉強方法です。基礎から応用までを段階的に学べるオンデマンドトレーニングや動画教材は、Autodeskの公式サイトから購入できます。

初級者向けの教材では操作の基本やインターフェースの使い方から解説されているので、つまづくことなくステップアップしていけるでしょう。実務に役立つ事例も充実しているので、仕事のシーンを思い浮かべながらスキルを習得できます。

Autodesk公式チュートリアルセット

Autodesk公式のチュートリアルセットでは、道路設計や地形モデリング、造成設計など、業務内容に応じた操作方法が手順ごとに解説されているため、各機能をピンポイントで学びたい方に最適です。

実際の画面操作や設定方法が図解されているためわかりやすく、必要な知識を効率よく身につけられます。初級者も迷わず学習を進められるのが、チュートリアルセットの特徴です。

Civil 3Dに特化した教本

書籍を通じて学びたい方は、Civil 3Dに特化した教本を選んでみましょう。手元に置いてすぐに何度でも見返せる点は、書籍ならではのメリットです。

初心者向けの入門書から実践的な応用テクニックを解説した上級者向けの書籍まで充実していて、目的に合わせて選ぶことができます。特に、現場の具体例を用いて操作手順を解説している教本は、実務でのイメージがしやすく、学習内容をすぐに現場に活かせると評判です。

CADオペレーターの派遣・転職はアットキャドへ

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アットキャドは、業界トップクラスの求人数を持つ、CADオペレーターやBIMオペレーターに特化した人材派遣・人材紹介サービスです。

20年以上の実績を持ち、スーパーゼネコンや大手設計事務所を含む2,600社以上と取引実績があり、業界トップクラスの求人数を誇ります。自社に設計部を設けているため、実際に図面を描くプロフェッショナルが在籍し、迅速なサポートが可能です。

研修制度も充実しており、初心者から経験者まで幅広く対応。登録から就業後まで徹底したフォローを行いますので安心してお仕事を探すことができます。

さらに、業界トップクラスの求人数があることから、転職のサポートも行っています。未経験からCADオペレーターやBIMオペレーターになりたい場合や、CADオペレーター・BIMオペレーターとしてキャリアアップしたい場合など、さまざまなケースに対応しているので、ぜひお気軽にご相談ください。

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まとめ

Civil 3Dとは

Civil 3Dは建設業界や土木業界には欠かせない、設計や計算などの作業を効率化してくれる、魅力的なツールです。業務効率を劇的に改善してくれるため、今後さらに需要は高まっていくと予想されます。

Civil 3Dの導入を検討している方は、自分に合った勉強方法を選択したうえでぜひ取り組んでみてください。現在の仕事の課題を解決する一助になるかもしれません。

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