CADオペレーターほどの専門的な知識がなくても、活躍できる機会が多いCAD事務。実際にはどのような仕事を任されることが多いのでしょうか。未経験でもチャレンジできるのかどうかも気になるところです。
本記事では、CAD事務を目指す方に向けてCAD事務の仕事内容ややりがい、勤務形態について解説していますので、ぜひ参考にしてください。
目次
CAD事務とは?

CAD事務の主な仕事は設計部門のサポートであり、CADを用いた作業はもちろんのこと、一般的な事務作業を任せられることも少なくありません。実際に建築や製造業など、多くの業種で活躍し、設計図面の整理や修正、データ管理を通じてプロジェクトの効率化を支えていることが多いものです。
CADオペレーターほど専門性は高くなくても、基本的なCAD操作スキルと事務能力が求められるCAD事務の具体的な仕事内容を見ていきましょう。
CAD事務の業務内容
CAD事務の具体的な業務内容は多岐にわたり、主な業務としては以下の4つが挙げられます。
- 図面の管理・修正
- データ整理と管理
- 関連資料の作成
- 庶務
図面の管理・修正では、CADソフトを使用して設計者が作成した図面の軽微な修正や更新業務が中心です。さらに、完成した図面データや設計資料を、デジタルフォルダやシステムで整理し、スムーズに検索・共有できるよう管理することも重要な仕事といえます。
さらには、図面と関連した資料や書類を作成し、電話応対などで設計者や他部門とのやりとりを円滑に行いながらプロジェクトの進行をサポートします。このように業務内容が多岐にわたるCAD事務は、設計部門の橋渡し役として欠かせない存在です。
CAD事務とCADオペレーターの違い
どちらもCADを扱うCAD事務とCADオペレーターですが、その役割には以下のように明確な違いがあります。
・CAD事務
簡単な図面修正やデータ管理など、主に事務・サポート業務が中心。そのため、専門的な設計スキルよりもコミュニケーション能力や事務処理能力が求められる傾向にある。
・CADオペレーター
設計者の指示に基づき、専門的な知識を活かして図面を作成するのが主な仕事。専門性が高く、CADソフトを高度に操作するスキルが求められる。
CAD事務は設計業務を間接的に支えるポジションであり、設計の専門知識がなくても比較的始めやすいのが特徴です。専門性の高いCADオペレーターは難しくても、CAD事務であれば基本的なCADスキルや事務能力を身に付けていれば、未経験でもチャレンジ可能な職種です。
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CAD事務のやりがい

設計業務をサポートするCAD事務は、設計ばかりやりたくない人にも人気の職種です。また設計者をサポートする縁の下の力持ち的な存在ですが、感じられるやりがいは決して少なくありません。ここでは、CAD事務のやりがいについて、具体例を挙げながら解説します。
さまざまな設計に貢献できる
建築設計から機械設計、インテリアデザインまで、業界ごとに扱う図面やプロジェクトはさまざまです。それもCAD事務であれば幅広い設計プロジェクトに携われるため、新鮮な気持ちを持ち続けながら、自分のサポートがプロジェクト成功につながる達成感を味わえます。
さらに、設計者とのコミュニケーションを経て、より設計への知識を深められる機会も得られるため、スキルアップを目指す方にぴったりです。
スキルや経験によって好待遇を期待できる
基本的なCAD操作や事務スキルに加え、プロジェクト管理や専門知識を身に付けながらステップアップできるのがCAD事務の特徴です。特に、ExcelやAutoCADなどのソフトに精通していれば業務の幅が広がりやすく、好待遇を期待できるでしょう。
一方で、AI化が進む現在、CAD業務が完全に自動化されるかもしれないと不安を抱える方も少なくありません。しかし、CAD事務の役割には単なる作業の補助だけでなく、チーム間の調整やデータ管理といった、AIには代替しづらい柔軟性を求められる業務も多分にあります。高い向上心を持ち、スキルを磨き続けられる人材は、AI化時代にも活躍できる人材として重宝される可能性が高いものです。
幅広い業界で働けるようになる
CAD事務のスキルは、建設業や製造業、土木関連業など、多様な業界で求められる汎用性の高いものです。そのため、業界の垣根を超えた新しい環境で働くことが可能で、キャリアの選択肢を広げやすいと言えます。
さらに、フリーランスや派遣として働く選択肢もあり、フレキシブルな働き方をしやすい点も人気の理由です。リモートワークが浸透した現代においては、CAD事務の仕事を在宅で行う企業も増えており、ライフスタイルに合った働き方も叶えやすくなっています。
CAD事務に求められるスキルと知識

設計業務をサポートする職種として、幅広いスキルと知識が求められるCAD事務。CADソフトの操作や製図に関する基本的な知識はもちろん、事務作業に関する知識を持っていても決して損はありません。ここでは、CAD事務として持っていると役に立つスキルや知識について詳しく解説します。
業界に関する基礎知識
CAD事務では、業界に応じた専門知識が求められます。たとえば、建築業界なら建築図面の基本的な構造や用語、製造業界なら部品の設計や加工に関する知識を有していることで、業務がスムーズになります。
基礎知識があることで設計者やクライアントとのコミュニケーションも円滑になり、指示にも問題なく対応できるようになります。知識を身につけるには、業界特有のトレンドや最新技術に関心を持ち、日々学び続ける姿勢が重要です。
CADソフトの操作スキル
CADソフトの基本的な操作は、CAD事務の主な仕事です。仕事で使われるCADソフトはAutoCADやJw_cadといった2Dソフトが主流ですが、企業によっては3Dソフトの知識が求められることもあります。
これらのソフトの操作スキルが高ければ高いほど、設計部門からの依頼にも迅速かつ正確に対応できるようになります。また、実務で使えるスキルを磨くためには、基本操作だけでなく、ショートカットの活用や効率的な作業方法を学ぶことも重要です。
製図の基本ルールや規格に関する知識
図面を扱う業務が多いCAD事務では、製図の基本ルールや規格に関する知識が必須です。日本でよく試用されているJIS(日本工業規格)には、線の種類や寸法の記載方法などが規定されており、ルールを理解することで、設計者が意図した内容を正確に図面へ反映できるようになります。
CADソフトの操作と合わせて製図に関する知識を学ぶことで、ミスを減らし、より実践的なスキルを身につけられるはずです。
パソコンの基本的なスキル
事務作業が多いCAD事務では、CADの知識だけではなく、一般的なパソコンスキルも欠かせません。特に、Excelでのデータ整理やグラフ作成や、ファイル管理やメールでのやり取りなどは、代表的な仕事の一つです。
そのため、ExcelやWordなどのオフィスソフトをはじめとする基本的なITスキルを習得しておくことが望ましいと言えます。
スケジュール管理能力
CAD事務は、複数のプロジェクトを同時にサポートするケースが多いため、スケジュールを守れる管理能力が欠かせません。優先順位をつけてタスクを進める力や、納期を守るための計画立案能力を持つCAD事務は、職場で重宝される存在になれるでしょう。
他部署とのやり取りが多いポジションでもあるため、突発的な依頼や変更にも柔軟に対応できる人材はより評価される傾向にあります。プロジェクト全体の進行状況を把握して、サポートが必要なタイミングで的確に動けるスキルを持っていれば、より理想的です。
CAD事務の働き方とメリット・デメリット

CAD事務の求人としては、正社員や派遣社員、パート・アルバイトと多種多様です。ここではそれぞれの働き方と、メリット・デメリットを紹介しますので、就職や転職をお考えの方はぜひ参考にしてください。
正社員
正社員として働く場合は、各業界の設計部門に所属し、フルタイムで業務をこなすことになります。安定した雇用と長期的なキャリアを築くことができるポジションですが、長時間拘束され、大きな責任を伴う仕事を任されやすくなるというデメリットもあります。
正社員のメリット
- 安定性がある
- キャリア形成をしやすい
- スキルアップの機会が多い
正社員のデメリット
- 時間が拘束されやすい
- 責任のある仕事を任されやすい
派遣社員
CAD事務が派遣社員として働く場合、まず派遣会社に登録し、派遣先の企業でプロジェクトに従事します。期間限定というデメリットはありますが、需要が高く、案件が豊富であるため、自分に合った求人を見つけやすい点はメリットです。
派遣社員のメリット
- 複数の企業で多様な経験を積める
- パート・アルバイトよりも時給が高い
- 自由度の高い働き方が叶う
派遣社員のデメリット
- 雇用が安定していない
- 福利厚生が不十分と感じることも
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パート・アルバイト
パートやアルバイトであれば、CAD事務でも短時間勤務や週数日の勤務を叶えられます。家庭や他の仕事と両立しやすい点は大きな強みですが、専門性や収入の低さはデメリットと言えます。ただし、正社員ほど責任のある仕事が任される機会が少なく、未経験者でもチャレンジしやすい環境はメリットの一つです。
パート・アルバイトのメリット
- 柔軟性がある
- 責任の重い仕事を任されにくい
- 未経験でもチャレンジしやすい
パート・アルバイトのデメリット
- 収入が不安定である
- スキルアップの機会が限られる
未経験からCAD事務に挑戦するときのおすすめ資格

CAD事務に挑戦する際、資格があれば未経験であってもスキルを証明することができます。資格の勉強を通じてCADの基本操作や業界特有の知識を得られたら、未経験でも業務に自信を持って臨めるでしょう。ここでは、CAD事務に役立つ資格をいくつか紹介します。
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CAD利用技術者試験
CADスキルを幅広く学べる入門資格としては、CAD利用技術者試験がおすすめです。特に、2D CADの操作や基本的な知識が問われる2級は、業務に必要な基礎力が身につけられるため、積極的に受験したいところ。
全国で試験が実施されていて、比較的受験しやすい点も魅力です。未経験からCAD事務に挑戦する方の最初のステップに最適な資格だと言えます。
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AutoCAD®ユーザー
AutoCAD®ユーザー認定資格を取得すれば、世界中で利用されているAutoCADソフトの操作スキルを証明できます。なかでも基礎レベルが問われる「AutoCAD Certified User」は未経験者に適していて、基本的な操作方法や設計を理解できていれば合格できるでしょう。
国際的に認知されている資格で、グローバル企業や大規模プロジェクトに携わる際にも評価される傾向にあります。AutoCADを使用する職場を志望する方は、勉強を始めてみてはいかがでしょうか。
建築CAD検定試験
建築分野に特化した建築CAD検定試験では、建築図面作成の基本的なルールや規格に基づいた操作能力が問われます。業界の専門知識を身につける機会となるため、建築業界を志望する方におすすめです。
試験では実務に直結する、JIS製図規格に基づいた問題が出題されるため、合格すれば職場でも即戦力としてみなされるでしょう。
CAD実務キャリア認定制度
CAD実務キャリア認定制度は、実務で求められる図面作成能力や、効率的な作業方法を評価する制度です。実務能力を何よりも重視していて、認定されれば即戦力としてのスキルを証明できます。
建築、機械、土木など、さまざまな分野に対応した制度で、特定の業界にとらわれない汎用性の高さも魅力です。
CADアドミニストレーター
CADアドミニストレーター資格は、CADシステムの管理や運用スキルを証明するものであり、より高度なスキルを目指す人から人気があります。CAD事務として経験を積んだ後に挑戦することで、キャリアの幅を広げやすくなるでしょう。
特に、システム運用やプロジェクト管理についても学べるため、ゆくゆくは管理職やスペシャリストになりたいと考える方にぴったりです。
CAD事務の派遣・転職はアットキャドへ

アットキャドは、業界トップクラスの求人数を持つ、CADオペレーターやBIMオペレーターに特化した人材派遣・人材紹介サービスです。
20年以上の実績を持ち、スーパーゼネコンや大手設計事務所を含む2,600社以上と取引実績があり、業界トップクラスの求人数を誇ります。自社に設計部を設けているため、実際に図面を描くプロフェッショナルが在籍し、迅速なサポートが可能です。
研修制度も充実しており、初心者から経験者まで幅広く対応。登録から就業後まで徹底したフォローを行いますので安心してお仕事を探すことができます。
さらに、業界トップクラスの求人数があることから、転職のサポートも行っています。未経験からCADオペレーターやBIMオペレーターになりたい場合や、CADオペレーター・BIMオペレーターとしてキャリアアップしたい場合など、さまざまなケースに対応しているので、ぜひお気軽にご相談ください。
CADビギ

アットキャドが提供する「CADビギ」は、未経験者でも安心してCADを学べる無料の研修サービスで、AutoCADのソフトの使い方を習得したい方におすすめです。
実務経験豊富な講師が10日間で基礎から丁寧に指導し、建築基礎やCAD作図法を習得できます。卒業生は多くの分野で活躍しており、同期や先輩とのサポート体制も充実しています。
研修中にアットキャドから就業先を紹介してくれる点や、就業先の要望があればそれに合わせて研修ができるため、キャリアアップやキャリアチェンジを目指す方に最適です。受講者からは、効率的な学びと実務での即戦力化が高く評価されています。
これからCADスキルを身につけたい方は、「CADビギ」で新たな一歩を踏み出しましょう。
まとめ
CAD事務は、CADのスキルだけではなく事務のスキルも求められるため、これまで他業種で事務職をしていた方も、活躍しやすい職と言えます。
働き方も多様であり、自分のペースでストレスなく働きたいという方に適しています。経験がなく不安という方は、ぜひCADビギの受講や資格の勉強をスタートしてCADに必要なスキルを習得するのがおすすめです。

