派遣社員としての経験を活かし、新しい職場で活躍したいと考えている人にとって、職務経歴書は重要なアピールツールです。
しかし、派遣社員ならではの経歴の整理方法や、応募先企業に魅力的に伝えるポイントが分からないと悩む人も多いでしょう。
本記事では、派遣社員の職務経歴書の基本から、具体的な記載方法、避けるべきミス、魅力ある自己PRのポイントまで詳しく解説します。
目次
派遣の職務経歴書とは?基本を押さえよう

職務経歴書は、これまでの業務経験やスキルを伝える重要な書類です。特に派遣社員の場合、複数の派遣先での経験をどのように整理し、明確に記載するかがポイントとなります。
雇用形態や派遣元・派遣先を正しく記載し、業務内容や実績を時系列順に整理することで、採用担当者に伝わりやすい職務経歴書を作成できます。
履歴書との違いと役割
派遣社員が転職活動をおこなう際には、履歴書と職務経歴書の両方を提出するのが一般的です。それぞれの役割を正しく理解し、適切に作成することが重要です。
- 履歴書…氏名、住所、年齢、学歴、職歴、資格、通勤時間などの基本的なプロフィールを記載。主に個人情報や職歴の概要を伝える。
- 職務経歴書…経験した仕事の職務内容や成果、身につけたスキルを詳細に記載。
応募先に対し、自身の強みや経験を具体的にアピールする目的で作成。
履歴書は応募者の基本情報を確認するための書類であり、職務経歴書はより深く業務経験を伝えるツールとして活用されます。派遣社員の場合、複数の企業での就業経験があることが多いため、職務経歴書をしっかりと作成することで、スキルや実績を明確に伝えられます。
記載内容のポイントと詳細レベル
職務経歴書を作成する際は、以下のポイントを押さえておくと、採用担当者に伝わりやすくなります。
- 派遣社員であることを明記する
職務経歴欄には「派遣社員として就業」と記載し、どの派遣会社を通じて働いたのかを明確にしましょう。
(例:「〇〇株式会社(派遣元:株式会社△△人材サービス)」) - 期間を具体的に記載する
派遣先ごとに「就業期間」を記載し、短期・長期の勤務を明確にしましょう。
(例:「2022年4月~2023年3月」) - 業務内容を具体的に書く
担当業務の詳細を記載し、使用したツールやスキル、成果をアピールします。
(例:「データ入力(Excel使用)、顧客対応(電話・メール)」) - スキルの一覧をまとめる
複数の派遣先での経験を整理し、最後に「使用可能なスキル」や「取得資格」をまとめて記載すると、採用担当者にアピールしやすくなります。
(例:「AutoCAD、Excel(VLOOKUP関数)」) - 読みやすさを重視する
箇条書きを活用し、簡潔かつ明確に書くことを心がけましょう。
(例:「・〇〇業務の担当」「・〇〇の業務改善提案」)
履歴書との整合性を取るポイント
職務経歴書は、履歴書の内容と矛盾がないように意識しつつ、同じ項目でも書き分けて完全に重複させないよう注意して作成する必要があります。以下のポイントを押さえておきましょう。
- 履歴書の内容を補足する形で記載する
履歴書には職歴の概要を記載し、職務経歴書で詳細を補完します。 - 統一感のあるフォーマットを使用する
履歴書と職務経歴書をセットで販売されているものを利用すると、統一感が生まれます。 - 提出時のマナーを守る
履歴書と職務経歴書は、どちらも一緒に封筒に入れて提出するのが一般的です。 データで提出する場合は、適切なファイル名(例:「職務経歴書_山田太郎.pdf」)をつけ、誤送信を防ぐために送信前に確認しましょう。
職務経歴書は、履歴書では伝えきれない経験やスキルを具体的に説明する重要な書類です。履歴書と一貫性を持たせつつ、応募先に響く内容を意識して作成しましょう。
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派遣社員の職務経歴書の書き方とフォーマット
派遣社員の職務経歴書は、正社員と異なり複数の派遣先での経験を記載することが多いため、その点を意識した構成が求められます。
各派遣先の業務を整理し、一貫性のある形でアピールすることが重要です。また、採用担当者がスムーズに目を通せるように、A4サイズ1〜2枚に収めるのが理想的です。
編年式・逆編年式・キャリア式の使い分け
職務経歴書は、それぞれの経験によって適した形式が異なります。以下の中から、自分の経歴にふさわしいものを選択しましょう。
- 編年式…履歴書と同様に業務経験を時系列順に記載。社会人経験が浅い人や同じ職種・業種での経験が長い人に適しています。
- 逆編年式…直近の職務を先に記載し、過去にさかのぼる形式。現在のスキルや経験値を強調したい人向けです。
- キャリア式…職務内容や分野ごとに整理する方法。転職回数が多い人や、複数の業務経験をアピールしたい場合に有効です。
必須項目(雇用形態・勤務期間・派遣元・派遣先)
職務経歴書には、雇用形態、勤務期間、派遣元・派遣先の企業名、職務内容などを明確に記載します。さらに、活かせるスキルや資格、自己PRを加えることで、より魅力的な内容になります。
PDF・Wordでの提出時の注意点
職務経歴書は、Wordで作成した後、PDFに変換して提出するのが一般的です。ファイル名は「職務経歴書_氏名.pdf」とし、送信前に正しく添付されているか確認しましょう。
派遣期間別の職務経歴書の書き方

派遣社員の職務経歴書は、派遣期間や業務内容を明確に記載することが重要です。全ての職歴を記載し、どのようなスキルを身につけたのかを具体的に示すことで、採用担当者にアピールできます。
ここからは、短期派遣が多い場合や長期派遣の実績をどのように伝えるか、さらに派遣から正社員になったケースや複数の派遣先で働いた場合の書き方について詳しく解説します。
短期派遣が多い場合の書き方
短期間の派遣を繰り返している場合、職務経歴書の書き方に工夫が必要です。頻繁に職場が変わると、一つひとつを詳細に書くと情報が多くなりすぎてしまいます。そこで、キャリア式のフォーマットを活用し、「事務職」「販売職」など業種別に業務内容とスキルをまとめると見やすくなります。
また、短期間の派遣になった理由は、「スキルアップ」や「契約満了」など前向きに説明し、安定性への懸念を和らげましょう。派遣元と派遣先を明記し、役割や貢献を具体的に書くことで価値をアピールしたり、同じ派遣会社経由ならその名を強調して一貫性を示したりするのも有効です。
多様な経験はスキルの証なので、積極的に伝えましょう。
長期派遣の実績の伝え方
長期間の派遣先では、単に勤務期間を記載するだけでなく、具体的な成果やスキル向上のポイントを示すことが重要です。職務能力を表組みにして記載し、採用担当者が視覚的に情報を整理しやすい構成にしましょう。
1社ずつ詳細に記載するのではなく、職務経験をまとめて記載し、派遣先企業名と主な職務を後に記載すると簡潔になります。
さらに実績として「業務改善で作業時間20%削減」「Excelマクロでデータ処理効率化」など具体例を記載すると効果的です。応募先の求めるスキルに合わせた経験を強調し、派遣元・派遣先の評価を加えると信頼性も高まると期待できるでしょう。
派遣から正社員になった場合の書き方
派遣から正社員に切り替わった場合は、その経緯を明確に記載することが重要です。以下のように補足を入れ、積極的にアピールしましょう。
- 〇〇株式会社に紹介予定派遣社員として就業後、正社員へ雇用形態を切り替え
- 契約社員として勤務し、評価を受けて正社員登用
正社員登用に至った背景や評価されたポイントを記載すると、採用担当者にポジティブな印象を与えられます。
複数派遣先がある、転職回数が多い場合の書き方
派遣社員として多くの企業で就業経験がある場合、全てを時系列で記載すると長くなりすぎるため、職種ごとにまとめるキャリア式の書き方がおすすめです。
例えば「営業事務」「データ入力」など業務別に整理すると、転職回数が目立たず、スキルや一貫性をアピールできます。
派遣先の企業名や業種、担当業務を明確にし、短期間の派遣でも「〇〇業界の経験」「△△業務のスキル」のようにまとめると専門性が伝わりやすくなります。
転職回数が多い場合も「派遣という働き方を通じてさまざまなスキルを習得してきた」という視点で記載すれば、柔軟性や適応力の高さをアピールすることが可能です。経験を一つの強みとして伝える工夫をしましょう。
派遣経験を魅力的に見せる自己PR術

職務経歴書の中でも特に重要なのが自己PRの部分です。派遣社員としての経験をどのように魅力的に伝えるかによって、採用担当者の印象は大きく変わります。
ここでは、数字や実績を活用する方法、業務で使用したツールの整理、派遣ならではの柔軟性や適応力の強調など、効果的な自己PRの書き方について詳しく解説します。
数字や実績で具体性を出す
職務経歴書では、単に業務内容を列挙するだけでなく、数字や実績を具体的に示すことで、より説得力のある自己PRになります。
例えば、業務の効率化を図り、処理時間を〇%削減した、顧客満足度を〇%向上させたといった具体的な成果を記載すると、実際の貢献度が伝わりやすくなります。
また、プロジェクトのリード経験や、新しい業務フローの提案など、自身が主体的に関わったエピソードを交えることで、採用担当者に「この人を採用したらどのようなメリットがあるのか」を明確に伝えることができます。
特に、派遣先企業で業務改善やチームの生産性向上に寄与した経験があれば、積極的にアピールしましょう。
業務で使用したソフト・ツール・得意分野を整理
派遣社員として働く中で、業務に使用したツールやソフトウェアを適切に整理し、応募企業の業務内容にマッチするものを重点的に記載することが大切です。
特に、事務職であれば「Excel(関数・ピボットテーブル使用)」「PowerPoint(資料作成)」、CADオペレーターであれば「AutoCAD」「Revit」といった具体的なツールを明示することで、即戦力としてのアピールにつながります。
また、IT系の職種やデータ管理に関わる業務では、RPAツールやCRMソフトの使用経験があると強みになります。
これまでに学んだスキルや活用したツールを箇条書きにして整理し、応募先企業が求めるスキルセットと照らし合わせながら記載すると、より効果的な自己PRになるでしょう。
派遣ならではの柔軟性や適応力を強調
派遣社員の強みのひとつは、多様な環境に適応しながら業務を遂行できる柔軟性です。企業ごとに異なる業務フローや文化にすぐに馴染み、即戦力として活躍してきた経験は、大きなアピールポイントになります。
例えば「短期間で新しい業務に順応し業務を円滑に進めた」「派遣先の変更があっても、迅速に適応し成果を出せた」といった具体的な事例を挙げると、適応力の高さが伝わります。
また、派遣元の評価が高い場合や、派遣先から契約更新のオファーを受けることが多かった場合は、その点も自己PRとして盛り込むとよいでしょう。
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【例文付き】応募職種別のアピールポイント
派遣社員としての経験を活かすためには、応募する職種に合わせた自己PRを意識することが重要です。事務職、CAD・IT系職、販売・接客職など、職種ごとに求められるスキルやアピールポイントが異なります。
ここでは、それぞれの職種に適した自己PRの例文を紹介し、具体的にどのようなポイントを強調すべきか解説します。
事務職向けの例文

事務職では、PCスキル、正確なデータ処理能力、コミュニケーションスキルが重視されます。特にExcelやPowerPointを活用した業務効率化の実績、書類作成やスケジュール管理の経験を具体的に記載することで、即戦力としてのアピールが可能です。
CAD・IT系職向けの例文

CADオペレーターやIT系職では、使用できるソフトウェアや技術スキルを明確に示すことが重要です。AutoCAD、Revit、SolidWorksなどの使用経験に加え、業務改善や作業効率化の提案実績を記載すると、より高い評価を得られる可能性があります。
販売・接客職向けの例文

販売・接客職では、顧客対応力、販売実績、クレーム対応の経験などをアピールポイントとして記載します。リピート率向上の施策や売上達成率などの数値を用いると、より具体的な実績として評価されやすくなります。
派遣の職務経歴書で避けるべきミス

派遣社員としての経験を整理し、職務経歴書にまとめる際には、いくつか注意すべきポイントがあります。ここでは、派遣の職務経歴書で避けるべきミスについて解説します。
派遣元と派遣先の混同を防ぐ
派遣社員の場合、「派遣元」と「派遣先」を明確に区別して記載することが重要です。派遣元は雇用契約を結んでいる会社であり、給与の支払いや社会保険の管理を担当する企業です。
一方、派遣先は実際に業務を行う企業であり、派遣元を通じて働いています。この区別が不明確な場合、採用担当者に誤解を与える恐れがあります。
また、職務経歴書の表現にも注意が必要です。「入社」「退社」という表現ではなく、「登録」「就業」などを用いるのが適切です。契約が終了した場合は「退社」ではなく「派遣期間満了」と記載すると、円満な契約終了であったことが伝わります。
何も書かない空白期間はNG
職務経歴書では、空白期間をできるだけ作らないように記載することが重要です。1ヵ月以上の空白期間が生まれる場合は、その理由を明記しましょう。
例えば「育児」「介護」「留学」「資格取得」など、前向きな理由を記載することで、採用担当者の印象を良くすることができます。
また、長期間の空白がある場合は、「スキルアップのために勉強していた」などの表現を使い、働く意欲があることを示しましょう。何も記載しないと、職歴に不明な期間があると見なされ不利に働く恐れがあります。
守秘義務に注意する
派遣社員として業務を行う中で、守秘義務に関する制約がある場合は、職務経歴書の記載内容にも注意が必要です。特に、派遣先企業が守秘義務契約を結んでいる場合、社名や具体的なプロジェクト名を記載することが禁止されている場合があります。
そのため、不明な場合は派遣元に確認し、守秘義務に違反しない形で記載しましょう。
例えば、「大手通信企業での事務業務」や「精密機器メーカーでのCADオペレーター業務」といった形で、業界や業務内容を記載することで、具体性を保ちつつ守秘義務を守ることができます。
今すぐ使えるテンプレート

職務経歴書作成を効率化したい人には、すぐに活用できるテンプレートがおすすめです。
派遣経験を整理しやすく、採用担当者に好印象を与えるフォーマットを参考に、自分の情報を当てはめてみてください。
派遣会社によっては、専用フォームへの入力で自動的に履歴書や職務経歴書が作成されるものもあります。
CADオペレーター・建築・設計分野の派遣ならアットキャド

アットキャドは、業界トップクラスの求人数を持つ、CADオペレーターやBIMオペレーターに特化した人材派遣・人材紹介サービスです。
20年以上の実績を持ち、スーパーゼネコンや大手設計事務所を含む2,600社以上と取引実績があり、業界トップクラスの求人数を誇ります。自社に設計部を設けているため、実際に図面を描くプロフェッショナルが在籍し、迅速なサポートが可能です。
研修制度も充実しており、初心者から経験者まで幅広く対応。登録から就業後まで徹底したフォローを行いますので安心してお仕事を探すことができます。
さらに、業界トップクラスの求人数があることから、転職のサポートも行っています。未経験からCADオペレーターやBIMオペレーターになりたい場合や、CADオペレーター・BIMオペレーターとしてキャリアアップしたい場合など、さまざまなケースに対応しているので、ぜひお気軽にご相談ください。
まとめ|派遣の職務経歴書を魅力的に仕上げよう
派遣社員の職務経歴書を作成する際は、雇用形態や派遣元・派遣先の区別を明確にし、具体的な業務内容や実績を記載することが重要です。また、派遣ならではの柔軟性や適応力をアピールすることも効果的です。
応募先が求める人材像を意識し、それぞれの職種に適した強みを伝えましょう。
派遣社員としての経験を最大限に活かし、採用担当者に魅力的な印象を与える職務経歴書の作成で、新たなステージへの一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。

