建築や製造業など多くの分野で欠かせないCAD(Computer-Aided Design)。難しいイメージもありますが、独学でCADを習得することは充分可能です。この記事では、CADを独学で学ぶ方法や手順、おすすめのリソース、効率的な学習のコツなどを詳しく解説します。
目次
CADを独学で学ぶメリットとデメリット

CADを独学で学ぶメリットとデメリットをご紹介します。
独学のメリット
CADを独学で学ぶメリットは、まず自分のペースで学習を進められること。
仕事や家事の合間を縫って学習できるため、時間の制約が少ない点が魅力です。また、費用面でも大きな利点があります。高額なスクールに通わずとも、無料や低価格の学習リソースを活用することで、コストを抑えながらスキルを習得できます。
さらに、独学では自分の興味や目的に合わせて学習内容をカスタマイズできるため、効率的に必要なスキルを身につけることができます。
独学のデメリット
一方で、独学にはデメリットも存在します。
最も大きな課題は、専門家からの直接的なフィードバックが得られにくい点。
間違った理解や技術を身につけてしまう可能性があり、それに気づくのが遅れる場合があります。また、モチベーションの維持が難しいことも挙げられます。独学では自己管理が求められるため、継続的な学習を続けるには強い意志が必要です。
さらに、実務で必要とされる高度なテクニックや最新の業界動向を把握するのが難しい場合もあります。
CADを独学で学ぶための学習方法

CADを独学で習得する方法としては、オンラインCAD教材の使用、書籍での学習、YouTube動画での学習などが考えられます。それぞれ特徴を見てみましょう。
オンラインCAD教材
オンライン上には、CADの学習に特化した教材が数多くあります。
初心者向けの基礎講座から、より実践的なスキルを学べる応用講座まで、レベルに合わせて選択可能。オンライン教材の多くは、動画解説付きで、実際のCAD操作を見ながら学習を進められるのが特徴です。
自宅にいながら、プロから直接指導を受けているような感覚で学習できるでしょう。
書籍での学習
書籍を使った学習は、オーソドックスな方法です。
初心者向けのCAD入門書から、より専門的な内容を扱った書籍まで、自分のレベルに合わせて選ぶことで、確実に情報を手に入れることができます。
書籍なら、自分のペースで読み進められるうえ、わからないところは何度も読み返せるというメリットがあります。ただし、書籍での学習は、実際のCAD操作を交えながら進めていくのが難しいという点には注意が必要です。
YouTube動画での学習
YouTubeには、CADに関する様々な動画コンテンツが投稿されています。
初心者向けのチュートリアルから、より実践的なテクニックを紹介する動画まで、幅広いラインナップがそろっています。
YouTubeでの学習は、無料で気軽に始められるのが大きな魅力。実際のCAD操作の様子を動画で見られるため、書籍での学習よりもイメージがつかみやすいでしょう。
これらの学習方法のどれかを選ぶのではなく、それぞれを組み合わせて取り入れるのもいいでしょう。
効率的なCAD学習のコツとスケジュール

独学でCADを習得したい場合、効率的に学習するためのコツを知っておくことをおすすめします。
学習目標の設定
CADを独学で効率的に学ぶためには、明確な学習目標を設定することが不可欠です。
まず、自分がCADを学ぶ目的を明確にしましょう。例えば、「3ヶ月以内に基本的な2D図面が作成できるようになる」や「半年後にはFusion 360で簡単な3Dモデリングができるようになる」といった具体的な目標がおすすめ。
目標は短期的なものと長期的なものの両方を設定し、段階的に達成していくことが重要です。
また、目標設定の際は、自分の現在のスキルレベルと利用可能な時間を考慮に入れましょう。
無理のない、かつ達成しがいのある目標を設定することで、モチベーションを維持しながら着実にスキルアップすることができます。定期的に目標の進捗を確認し、必要に応じて調整することも忘れずに行いましょう。
独学での時間管理とモチベーション維持の方法
独学でCADを学ぶ際、時間管理とモチベーション維持は大きな課題となるでしょう。
効果的な学習を継続するためには、まず規則的な学習スケジュールを立てることが重要です。例えば、平日は毎日1時間、週末は3時間というように、自分のライフスタイルに合わせた学習時間を確保しましょう。また、25 分間の作業セッションに 5 分間の休憩を挟むポモドーロ・テクニックなどの時間管理手法を活用し、集中力を維持しながら効率的に学習を進めることができます。
モチベーション維持のためには、小さな成功体験を積み重ねることが効果的です。
学習の進捗を可視化するため、学習日記をつけたり、習得したスキルをリスト化したりするのも良いでしょう。さらに、オンラインのCADコミュニティに参加し、同じ目標を持つ仲間と交流することで、孤独感を解消し、モチベーションを高めることができます。
定期的に自分の成長を振り返り、達成感を味わうことも、長期的なモチベーション維持につながります。
独学でのCADの学習ステップ
CADを独学で効果的に学ぶためには、段階的に学習ステップを踏んでいくことが重要です。
まず、CADの基本概念と用語を理解することから始めましょう。次に、選択したCADソフトの基本操作を学びます。この段階では、インターフェースの理解や基本的な描画ツールの使い方に焦点を当てます。基本操作に慣れたら、2D図面の作成練習に移ります。
簡単な図形から始め、徐々に複雑な図面作成に挑戦していきます。
2Dスキルが向上したら、3Dモデリングの基礎を学びます。ソリッドモデリングやサーフェスモデリングの概念を理解し、簡単な3Dオブジェクトの作成から始めます。さらに、アセンブリ(部品の組み立て)や図面生成など、より高度な機能の習得に進みます。
各ステップで十分な練習問題に取り組み、実際のプロジェクトに近い課題にも挑戦することで、実践的なスキルを身につけることができます。
初心者におすすめのCADソフト
初心者におすすめのCADソフトをご紹介します。
AutoCAD

AutoCADは、業界標準として広く使用されている2D/3DCADソフトウェアです。特に建築や機械設計の分野で高い評価を得ています。初心者にとっては学習曲線がやや急ですが、一度習得すれば幅広い分野で活用できるスキルとなります。
特に日本国内の建築・設備関連企業で評価されており、就職や転職の際にも有利に働く可能性もあります。
AutoCADの強みは、精密な2D図面作成機能と、3Dモデリング機能を兼ね備えている点です。また、豊富なオンラインリソースや学習教材が利用可能で、独学での習得をサポートしてくれます。AutoCADは有料ソフトですが、学生や教育機関向けに無料版も提供されています。初心者は、まず基本的な2D図面作成から始め、徐々に3D機能へと学習を進めていくことをおすすめします。
Autodesk Fusion(旧Fusion 360)
Autodesk Fusion(旧Fusion 360)は、クラウドベースの3DCADソフトウェアで、特に製品設計やエンジニアリング分野で人気があります。初心者にとって比較的学びやすいインターフェースを持ち、直感的な操作が可能です。
Fusionの特徴は、3Dモデリング、シミュレーション、CAM(Computer-Aided Manufacturing)機能を統合している点です。クラウドベースのため、チーム間での共同作業が容易で、最新のデータに常にアクセスできます。また、個人利用や小規模スタートアップ向けに無料版が提供されているため、コストを抑えて学習を始められます。
Fusionは、パラメトリックモデリングとダイレクトモデリングの両方をサポートしており、柔軟な設計アプローチが可能です。初心者は、基本的な3Dモデリングから始め、徐々に高度な機能へと学習を進めていくことができます。
Jw_CAD

Jw_CADは、日本で開発された無料の2DCADソフトウェアで、特に建築・設備設計分野で広く使用されています。初心者にとって最大の魅力は、完全無料で使用できる点と、日本語インターフェースによる操作のしやすさです。
Jw_CADは軽量で動作が速く、比較的低スペックのPCでも快適に使用できます。
主に2D図面作成に特化しており、建築図面や設備図面の作成に適しています。また、豊富な日本語の学習リソースや、活発なユーザーコミュニティがあり、独学での習得をサポートしてくれます。
Jw_CADは、AutoCADなどの他のCADソフトとのデータ互換性も備えており、実務での活用も可能です。初心者は、基本的な図形の描画から始め、徐々に複雑な図面作成へと学習を進めていくことをおすすめします。
独学で習得したCADスキルを証明する方法

独学でCADを習得したとしても、証明する手段がなければ相手に技術があることを伝えることはできません。CADスキルの証明方法として、認定資格の取得やポートフォリオの作成、実際にCADオペレーターとして就職することなどが考えられます。
認定資格の取得
独学で習得したCADスキルを客観的に証明する最も効果的な方法の一つが、認定資格の取得です。CAD関連の資格は多数存在し、それぞれ異なるレベルと専門分野をカバーしています。
例えば、「CAD利用技術者試験」は、2次元CADと3次元CADの両方で、基礎から上級まで幅広いレベルの資格を提供しています。また、AutoCADやFusion 360などの特定のソフトウェアに特化した認定資格もあります。
これらの資格は、独学で学んだスキルが一定の基準に達していることを示す有力な証拠となります。資格取得のための学習過程は、自身のスキルを体系的に整理し、弱点を補強する良い機会にもなります。さらに、多くの企業がCAD関連の資格を高く評価するため、就職や転職の際に大きなアドバンテージとなります。資格取得を目指す際は、自身のスキルレベルと目標に合わせて適切な資格を選択し、計画的に準備を進めることが重要です。
ポートフォリオの作成
独学で習得したCADスキルを効果的に示すもう一つの重要な方法は、ポートフォリオの作成です。ポートフォリオは、あなたのCADスキルと創造性を視覚的に示す強力なツールとなります。
効果的なCADポートフォリオには、様々な種類のプロジェクトや設計を含めることが重要です。例えば、2D図面、3Dモデル、レンダリング画像、アニメーションなどを組み合わせて、幅広いスキルセットを示すことができます。また、各プロジェクトについて、設計の目的、使用したテクニック、直面した課題とその解決方法などを簡潔に説明することで、あなたの思考プロセスと問題解決能力をアピールできます。
ポートフォリオは、オンラインプラットフォーム(Behance、ArtStationなど)を活用して公開することで、より多くの人々の目に触れる機会を増やすことができます。定期的にポートフォリオを更新し、最新のプロジェクトや習得したスキルを反映させることも忘れずに行いましょう。
CADオペレーターとして就職
独学で習得したCADスキルを最も直接的に証明する方法は、CADオペレーターとして実際に就職することです。
多くの企業が、CADスキルを持つ人材を求めており、特に建築、製造、エンジニアリング分野での需要が高いです。就職活動の際は、自身のCADスキルを具体的にアピールすることが重要です。
履歴書やカバーレターには、使用できるCADソフトウェア、完了したプロジェクト、取得した資格などを明記しましょう。面接では、ポートフォリオを活用して自身のスキルを視覚的に示すことができます。また、インターンシップやフリーランスの仕事から始めることも、実務経験を積む良い方法です。
これらの経験を通じて、実際の業務環境でのCAD使用スキルを証明し、さらなるキャリアアップにつなげることができます。
就職後も継続的に学習を続け、最新のCAD技術やトレンドに対応することで、より高度な職位や責任ある立場へのステップアップも可能となります。
CADオペレーターとして働くならアットキャド

アットキャドは、業界トップクラスの求人数を持つ、CADオペレーターやBIMオペレーターに特化した人材派遣・人材紹介サービスです。
20年以上の実績を持ち、スーパーゼネコンや大手設計事務所を含む2,600社以上と取引実績があり、業界トップクラスの求人数を誇ります。自社に設計部を設けているため、実際に図面を描くプロフェッショナルが在籍し、迅速なサポートが可能です。
研修制度も充実しており、初心者から経験者まで幅広く対応。登録から就業後まで徹底したフォローを行いますので安心してお仕事を探すことができます。
さらに、業界トップクラスの求人数があることから、転職のサポートも行っています。未経験からCADオペレーターやBIMオペレーターになりたい場合や、CADオペレーター・BIMオペレーターとしてキャリアアップしたい場合など、さまざまなケースに対応しているので、ぜひお気軽にご相談ください。
まとめ
独学でCADを習得するのは、簡単なことではありません。しかし、適切な学習方法を選び、地道に学習を継続することで、確実にスキルを身につけることができるはずです。CADのスキルは、これからの時代に欠かせない力の一つ。ぜひ、CADの独学に挑戦してみてください。

