【CAD用パソコン完全ガイド】最適スペックからおすすめモデルまで徹底解説

2025年2月22日

【CAD用パソコン完全ガイド】最適スペックからおすすめモデルまで徹底解説

CADの業務で快適に作業するためには、適切なスペックのパソコンが不可欠です。処理速度の遅いPCでは作業効率が落ち、ストレスの原因にもなります。

本記事では、CAD用パソコンの選び方からおすすめモデル、さらに既存のPCをアップグレードする方法まで詳しく解説します。

CAD用のパソコンを探している方や、今あるPCでCADを使いたいけれどスペックが不安な方は、ぜひ参考にしてください。

目次

CAD用パソコンのスペックと選び方

CAD用パソコンのスペックと選び方

CAD用パソコンを選ぶには、CPUやGPU、メモリなどが作業にどう影響するのかを知ることが重要です。ここでは、各主要パーツの役割と推奨スペックについて解説します。

CPUの性能が快適さを左右する

CPU(Central Processing Unit)は、パソコンの「頭脳」とも呼ばれ、データ処理やプログラムの実行を担います。

CADソフトをスムーズに動作させるには、高性能なCPUを選ぶことが重要です。具体的には、インテル社Core i7で第10世代以降の製品は選んでおきたいところです。

GPU(グラフィックボード)の重要性

GPU(Graphics Processing Unit)とは、画像や映像をパソコンのディスプレイに出力するためのパーツのこと。

高性能GPUを搭載したモデルなら、描画性能やレンダリング速度が大幅に向上します。NVIDIA社GeForce RTXやAMD社Radeon RXなどがよく選ばれています。

メモリ(RAM)の適切な容量

メモリ(RAM=Random Access Memory)は、パソコンが作業中にデータを一時保存する領域です。CAD作業では大容量のデータを扱うため、メモリ容量が不足すると動作が重くなってしまいます。

2Dであれば16GB以上でも作業できますが、32GB以上あると安心でしょう。3DCADや複数ソフトを同時に使用する場合は、64GB以上がおすすめです。

ストレージ(HDD/SSD)の選び方

ストレージには2種類あり、SSD(Solid State Drive)はデータの読み書きが速く、HDD(Hard Disk Drive)は大容量データの保存に適しています。

CAD作業では大量のデータをすばやく読み書きする必要があるため、512GB以上のSSD搭載が推奨されます。

おすすめのCAD用パソコン【初心者〜プロ向け】

おすすめのCAD用パソコン【初心者〜プロ向け】

CAD作業を快適に行うために、用途や予算に応じた適切なモデルを選びましょう。ここでは、初心者からプロまで対応できるおすすめのCAD用パソコンを紹介します。

おすすめのCAD用パソコン1.クリエイター向けPC

クリエイター向けPCは、Adobe系ソフトや動画編集、デザイン用途に最適化されており、高性能なCPU・GPU・大容量メモリを搭載しているのが特徴です。

特に、NVIDIA RTXやAMD Radeonを搭載したモデルは、CAD作業だけでなく、3Dレンダリングなどの負荷が高い作業にも適しています。メモリは最低16GB以上、SSD512GB以上だと安心です。

おすすめのCAD用パソコン2.ゲーミングPC

ゲーミングPCは、ゲームをするためだけのパソコンと思われがちです。

しかし、実際は高い画像処理能力を持つGPUと高速処理が可能なストレージを搭載しているため、3DCADの作業にも対応できます。

また、強力な冷却機能を備えているのも特長です。高性能なPCほど熱を持ちやすくなりますが、ゲーミングPCは長時間のゲームプレイに耐えられるよう、高性能な空冷・水冷システムを搭載した機種が揃っています。

おすすめのCAD用パソコン3.モバイルワークステーション

モバイルワークステーションは高性能な装置を搭載しているノートPC。CADのほかに高負荷なクリエイター業務も可能です。

一般的なノートPCとは異なり、ワークステーション向けの専用GPUを搭載している点が大きな特長です。

高性能なGPUを搭載しながらも携帯性を重視して設計されており、外出先での作業が多い方におすすめです。

他にも、ECCメモリ(Error-Correcting Code Memory)やISV認証(Independent Software Vendor)を備えている機種もあります。

ECCメモリとは、エラーを自動的に検出・訂正する機能を持つメモリのこと。通常のメモリでは検出できない小さなエラーを修正できるため、データの信頼性が求められる業務環境で使用されます。

また、ISV認証されたワークステーションは、Autodesk社などのソフトウェアメーカーから安定動作が保証されており、正式サポートも受けられるため安心です。

代表的なワークステーションにはDell Precisionシリーズ、HP ZBookシリーズがあります。

おすすめのCAD用パソコン4.CAD用BTOパソコン

BTO(Build To Order)パソコンとは、カスタマイズ可能なPCを注文し、用途に応じたスペックに構成できるパソコンのこと。

CPUやGPUなどのスペックを自由にカスタマイズできるため、設計者やエンジニアの方にとってコストパフォーマンスが高い選択肢となります。

MousePro、TSUKUMO、サイコムなどのメーカーがよく知られています。

デスクトップとノートパソコン、どちらを選ぶべき?

デスクトップかノートパソコンかで迷われている方も多いでしょう。

デスクトップのメリットは、高機能で拡張性に優れている点。同じスペックならノートパソコンよりも安価な点も魅力です。

とはいえ、近年は高機能を備えたノートパソコンも登場しています。ノートパソコンは出先でチームやクライアントとデータを共有でき、修正などの対応をその場ですぐ行うことができるのがメリット。

ご自身の作業スタイルや予算に合わせて検討してみてください。

CADソフトごとの最適なスペック解説

CADソフトごとに求められるスペックは異なります。ここでは、代表的なCADソフトに最適なPCスペック(Windowsの場合)を解説します。

CADソフト別の推奨スペック1.AutoCAD

AutoCAD
出典:https://www.autodesk.com/jp/products/autocad/overview

AutoCADは2D設計と軽量な3Dモデリング用のソフト。比較的軽量なため、ミドルスペックPCでも対応できます。

【推奨スペック】

  • CPU:3GHz以上のプロセッサ(ベース)、4GHz以上(ターボ)
  • GPU:8GBのGPU、帯域幅106GB/秒、DirectX12互換
  • メモリ:32GB
  • ディスク空き容量:10.0GB(SSDを推奨)

参考:AutoCAD 2025 including specialized toolsets の動作環境

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CADソフト別の推奨スペック2.Vectorworks

Vectorworks
出典:https://www.aanda.co.jp/Vectorworks2024/

Vectorworksは、2D/3D設計やBIM機能に対応した汎用CADソフトです。大規模なBIMを扱う場合はさらに高いスペックが必要です。

【推奨スペック】※ミドルレンジの場合

  • CPU:6コア以上搭載で2GHz以上の Intel Core i7、または AMD Ryzen 7、またはそれと同等以上のもの
  • GPU:Windows: DirectX 11互換、4GB以上のVRAM
  • メモリ: 16GB以上
  • ディスク空き容量:50GB以上(オプションライブラリ35GBを含む)

参考:Vectorworks 2024 動作環境

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CADソフト別の推奨スペック3.CADWe'll Tfas

CADWe'll Tfasとは?
出典:https://www.daitec.jp/catalog/tfas14/tfas_01.html

CADWe'll Tfasは建築設備設計向けの3DCADソフト。配管のルーティング機能など設備設計に特化した機能が特徴です。

【推奨スペック】

  • CPU:Intel Core i5 同等品以上推奨
  • GPU: DirectX 11が快適に動作するグラフィックカードもしくはオンボードチップ(NVIDIA GeForce GT 730、 AMD Radeon HD7470 1GBメモリ同等品以上推奨)
  • メモリ:4.0GB以上(32bit版)、8.0GB以上(64bit版)
  • ディスク空き容量:3.0GB以上

参考:動作環境

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CADソフト別の推奨スペック4.Rebro

Rebro
出典:https://www.nyk-systems.co.jp/product/rebro

Rebroは、建築設備設計に特化したBIM対応の3次元CADソフト。業界内では、高精度な設備モデルの作成に定評があります。

【推奨スペック】

  • CPU:Intel Core i9、Core i7、Core i5以上
  • GPU:DirectX12、もしくはDirectX9が快適に動作するグラフィックボード、もしくはオンボードチップ
  • メモリ: 16GB以上
  • ディスク空き容量:1.5GB以上

参考:動作環境・データ互換

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CADソフト別の推奨スペック5.SolidWorks

Solidworks
出典:https://www.solidworks.com/ja

SolidWorksは機械設計用の3DCADソフトで、操作が比較的簡単ながらも幅広い設計ニーズに対応しています。

【推奨スペック】

  • CPU:Intel 64またはAMD64を搭載したCPU
  • GPU:NVIDIA Tシリーズ、NVIDIA RTX Aシリーズなど
  • メモリ: 16GB以上
  • ストレージ:SSDを推奨

参考:SOLIDWORKSおよびSWデータ管理のシステム要件

CADソフト別の推奨スペック6.Revit

Revitとは?
出典:https://www.autodesk.com/jp/products/revit/overview

RevitはAutoCADと同じAutodesk社の製品で、建築・設計業界で活躍するBIMソフトウェアです。

【推奨スペック】※ミドルレンジの場合

  • CPU:Intel® i-Series、Xeon®、AMD® Ryzen、Ryzen Threadripper PRO。2.5 GHz 以上
  • GPU:Shader Model 5 搭載の DirectX 11 対応グラフィックス カードおよび 4 GB以上のビデオ メモリ
  • メモリ: 32GBのRAM
  • ディスク空き容量: 30GB以上

参考:Revit 2025 製品の動作環境 

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CADソフト別の推奨スペック7.ArchiCAD

ArchiCAD
出典:https://graphisoft.com/jp/solutions/products/archicad

ArchiCADは、直感的な操作性を備えたBIMソフト。平面、立面、断面、3Dのどこからでも編集ができるのが特長です。

【推奨スペック】※ミドルレンジの場合

  • CPU:Intel Core i7、AMD Ryzen 7
  • GPU:6 GB VRAM DirectX 11 OpenGL対応グラフィックスカード
  • メモリ: 32GB
  • ストレージ:NVMe SSD、5GB以上の空き容量

参考:動作環境

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CADソフト別の推奨スペック8.Fusion 360

Fusion 360
出典:https://www.autodesk.com/jp/products/fusion-360/overview

Fusion 360に代表されるクラウドベースのCADソフトは、ネット環境の安定性も考慮する必要がありますが、ローカルのストレージ容量を大きく節約できるのがメリットです。

【推奨スペック】

  • CPU:Intel Core i7、AMD Ryzen 7
  • GPU:8 GB以上のメモリ、専用グラフィックスDirectX11(Direct3D 10.1以上)
  • メモリ: 32GB以上 15 GB 以上
  • ストレージ:SSDを推奨

参考:Autodesk Fusion の動作環境

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今あるパソコンをCAD用にアップグレードする4つの方法

今あるパソコンをCAD用にアップグレードする4つの方法

新しいパソコンを購入する以外に、手持ちのパソコンをアップグレードするのも選択肢の一つです。ここでは、効果的な4つの方法を紹介します。

1.OSやソフトウェア設定の最適化

CADの動作をスムーズにするためには、OSやソフトウェアの設定を適切に調整することが重要です。

特に、不要なバックグラウンドアプリを停止することで、システムリソースをCADに集中させることができます。

また、OSの最新アップデートを適用し、GPUドライバーも最新に更新することで、パフォーマンスを向上させることができます。

2.メモリ増設やストレージ交換

CADソフトの起動や動作が遅い場合、メモリの増設やストレージの交換が効果的です。

例えば、32GB以上のメモリを増設したり、HDDからSSDに換装したりすることで、CADファイルの読み込み時間を大幅に短縮できるでしょう。

3.外付けGPUや高速SSDの活用

既存のPCに外付け機器を追加し、パフォーマンスを向上させる方法もあります。特に、外付けGPU(eGPU)を活用することで、グラフィック処理の速度が大幅に向上します。

また、外付けNVMe SSDを使用すれば、データの転送速度が向上し、大容量のCADデータの取り扱いが快適になります。

4.作業効率を上げる周辺機器の導入

本体以外にあなどれないのが、周辺機器の買い替えによる効果です。

高解像度ディスプレイを導入すれば、作業領域が広がり、細かい設計作業がしやすくなります。

また、ショートカット対応のキーボードやトラックボールマウス、ペンタブレットも作業効率の向上に貢献してくれるでしょう。

今の環境で作業がやりにくいと感じている方、もっと効率を上げたいという方はぜひ周辺機器にも目を向けてみてください。

CAD用パソコン購入前に知っておくべきこと

CAD用パソコン購入前に知っておくべきこと

新しいCAD用パソコンを購入する際には、スペックだけでなくコストやサポート体制も考慮する必要があります。ここでは、購入時にチェックすべきポイントを解説します。

補助金や法人向けプランの活用

CAD用PCは高性能な分、高価格になりがちです。

しかし、IT導入補助金や法人向けの分割プランを活用すれば、コストを抑えて導入することが可能です。

特に、中小企業向けの補助金制度を利用することで、初期投資を抑えつつ最新のPCを導入できます。

中古やリースでコストを抑える方法も

コストを抑えつつCADに適したスペックを確保するためには、中古PCやリースを選択肢に入れる手もあります。

BTOメーカーの再生品・アウトレットPCでは、保証付きの再整備品が安価に入手できます。リース契約を利用すれば、初期費用を抑えながら定期的に最新機種に切り替えることもできます。

メーカーサポートと保証内容を確認

長期間にわたって安定して使用するためには、メーカーのサポート体制を確認することが重要です。

特に、遠隔サポートや即日対応可能な保証プランがあれば、業務の停止リスクを最小限に抑えることができます。

主要パーツの交換可否についても事前に確認し、長期的に運用できるモデルを選びましょう。

法人向けと個人向けモデルの違い

CAD用PCは、法人向けモデルと個人向けモデルで仕様やサポート内容が異なる点に注意が必要です。

法人向けモデルは、長期間のサポートや耐久性の高いパーツを採用していることが多く、業務用途には適しています。

一方、個人向けモデルは価格が抑えられているものの、サポート期間が短いことがあるため、使用目的に応じて選択する必要があります。

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まとめ:最適なパソコンを選んで快適に作業しよう

CAD作業を効率よく行うには、適切なパソコンのスペックや環境が不可欠です。高性能なCAD用PCは費用がかかるため、新規購入だけでなく既存のPCのアップグレードや中古やリースの活用も検討するとよいでしょう。

ぜひこの機会にご自身の用途や予算を明確にし、最適な方法でCAD環境を整えてみてください。

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