建設業界で事務職として働く場合、一般的な事務職とは異なる仕事を任されることがあります。一体どのような仕事を任されやすいのでしょうか。建設事務として働く際に求められる資質やスキルも気になるところです。
この記事では建設事務の具体的な仕事内容や働く魅力、求められる資質や現場で役に立つ資格まで、幅広く紹介します。建設事務の仕事に就きたいとお考えの方は、ぜひ参考にしてください。
目次
建設事務の種類は主に4つ!建設業界ならではの業務内容は?

建設業界の事務職は、大きく以下の4つの仕事に分けられます。
- 総務
- 経理
- 営業事務
- 現場事務
他業種の事務職に類似した仕事もありますが、建設業界では現場の運営をサポートする役割も求められます。専門的な知識が必要な場面も多いため、業界未経験者には最初は難しく感じることもあるかもしれません。
しかし、経験を積めば重宝されるスキルが身につき、安定したキャリアを築くことができます。ここでは、建設事務の主な業務を4つに分けて紹介します。
建設関連書類の管理・作成
建設業では、工事に関するさまざまな書類が欠かせません。そのため、建設事務は契約書、発注書、見積書、請求書などの作成・管理を任されることが多いものです。
また、官公庁に提出する申請書類の準備や、協力会社とのやり取りを行うこともあります。工事に関連する書類は法的な要件を満たす必要があるため、ミスなく正確に作成できるスキルが求められます。
安全書類・労務管理
安全管理が非常に重要な建設現場では、作業員の安全を確保する「安全書類」の管理が必要になってきます。作業員名簿、労災保険関係書類、安全衛生管理計画などの作成・提出は建設事務の業務の基本です。
また、労務管理として、出勤簿の確認、作業員の資格や健康診断の管理、労働時間の記録などを担当する機会も少なくありません。これらの業務は、工事をスムーズに進めるために欠かせない役割を担っています。
図面や施工計画書の取り扱い
設計図面や施工計画書などの管理も、建設事務の重要な業務です。CADソフトを使う機会は少なくても、設計図や施工計画書の保管や関係者への配布、図面の変更点の管理などを担当することがあります。
図面には専門用語が多く含まれますが、内容を理解できるようになれば、現場担当者とのやり取りがスムーズになり、より質の高い仕事をこなせるようになります。施工の進捗に応じて、最新の情報を関係者に共有することも重要な役割です。
現場の入金・支出管理、経費精算
建設業界では、工事の規模が大きくなるほど資金の流れが複雑になります。そのため、入金管理や支出管理を任される建設事務の責任は重大です。具体的には、材料費や外注費の支払い処理、現場で発生する経費の精算、請求書の確認などを行います。
さらに、発注者や協力会社とのやり取りが発生した際には、より細かな確認作業が求められます。経理業務に携わることが多く、簿記の知識があると業務に役立てられます。
建設事務として働く魅力とやりがい

建設事務は、現場を支える重要な役割を担う職種です。一般的な事務職と異なり、工事に関わる書類作成や労務管理、経理業務などを通じて、建設プロジェクトの円滑な進行をサポートすることができます。そのような建設事務で、やりがいや魅力を感じられるポイントを3つ紹介します。
建設現場を支える達成感を味わえる
建設事務は、直接現場作業を行うわけではありませんが、工事を円滑に進めるために欠かせない役割を担っています。書類管理や発注業務、経費精算など、裏方としての業務がスムーズに進むことで、現場の作業員や施工管理者は安心して仕事を進めることができます。
工事が完了し、建物が完成したときには、自分の業務がその一部を支えていたという達成感を味わえるのが大きな魅力です。
未経験でもチャレンジしやすい
建設事務の仕事は、特別な資格がなくても始められるケースが多く、未経験者にも門戸が開かれています。基本的なPCスキルや書類作成能力があれば、現場で必要な知識は働きながら習得できます。
また、OJTが充実している企業も多く、実務を通じて建設業界ならではの知識を身につけられるのが魅力です。経験を積むことで、より専門的な業務にも対応できるようになるため、成長を実感できる仕事といえます。
男女問わずキャリアアップできる
建設業界は男性のイメージが強いですが、事務職に関しては活躍する女性が増えています。実際に、女性が多い職場も多く、産休・育休制度を活用しながら働ける環境が整っている企業もあります。
また、建設業界の知識を深めて、事務職から施工管理や現場監督、経理専門職など、さまざまなキャリアパスを選ぶことも可能です。スキルを磨けば長く働き続けられるため、男女問わずキャリアアップを目指せる職種といえるでしょう。
建設事務に向いている資質とスキル

建設事務は、建設現場やオフィスでの業務を円滑に進めるために欠かせない存在です。活躍するためには、事務職としてのスキルだけでなく、建設業界特有の業務にも対応できる柔軟性が求められます。ここでは、建設事務に向いている資質やスキルを紹介します。
基本的なパソコンスキル
建設事務の仕事では、ExcelやWord、メールなどの基本的なパソコンスキルが必須です。特にExcelは、見積書や請求書の作成、工事費用の管理などで頻繁に使用されるため、関数や表計算の基本操作を習得しておけば、業務効率を改善できます。また、企業によっては建設業専用のシステムを使うこともあるため、新しいツールに抵抗なく対応できる柔軟性も重要です。
さらに、CADソフトの基礎知識や簡単な操作ができると、採用されやすくなったり、高時給でスタートできたりするケースがあります。図面の修正や印刷、データ管理ができる事務スタッフは重宝されるため、余裕があれば学んでおくのもおすすめです。
事務処理能力
建設事務の業務では、契約書や発注書、安全書類、見積書など、多くの書類を扱います。それらひとつひとつには細かいチェックが必要なため、ミスなく正確に処理できるスキルが求められます。加えていえば、書類の管理や提出期限の確認なども重要な業務のひとつです。
工事ごとに異なる書類が必要になるため、業務の流れを把握し、優先順位をつけて効率よく進めるスキルがあると、よりスムーズに仕事ができるでしょう。特に、公共工事などでは厳格な書類管理が求められるため、慎重さや几帳面さを活かせます。
コミュニケーション能力
建設事務は、書類作成やデスクワークだけでなく、社内外のさまざまな人と関わる機会があります。施工管理者や現場作業員、取引先企業などとのやり取りが発生すれば、相手の立場を理解しながら円滑にコミュニケーションを取る力が必要です。
例えば、書類の不備を修正してもらう際や、発注業務を進める際には、相手に的確に伝えるスキルが求められます。また、建設現場では突発的な問題が発生することも多いため、柔軟な対応力も欠かせません。スピード感が求められる建設業界では報連相を徹底し、スムーズに業務を進められると評価が高まるでしょう。
建築・建設に興味がある
建設事務の仕事を長く続けるうえで、建築や建設に対する興味があることは大きな強みになります。工事の流れや業界の仕組みを理解していくことで、業務の幅が広がり、仕事のおもしろさを感じられるようになります。
特に、CADの基本操作を習得すると、図面の確認や修正ができるようになり、より専門性の高い業務に携われるようになります。その結果、事務職としての市場価値を高められ、給与アップやキャリアの選択肢の充実化につながっていくでしょう。
建設事務としてのキャリアアップを目指すなら?

建設事務は、経験を積みながらキャリアの幅を広げられる職種です。業務の習熟度が上がるほど、より高度な仕事を任されるようになり、昇進や専門性の向上につなげられるようになります。ここでは、キャリアアップの具体的な方法を紹介します。
管理職への昇進
建設事務の仕事に慣れてくると、事務スタッフをまとめる役割を担うことがあります。特に、複数の工事現場を管理する会社では、事務の統括や業務の改善を行う管理職への道が開かれています。
業務の効率化やスタッフの指導ができるようになると、主任や係長、事務部門のリーダーとしてキャリアアップが可能です。また、現場監督や施工管理のサポート業務を経験することで、より責任のあるポジションを目指せます。
資格取得で専門性アップ
建設業界では、資格を取得すれば専門性が高まり、業務の幅を広げられます。例えば、建設業経理士を取得すれば、経理・財務関連のスキルが評価され、給与アップにつながる可能性があります。
また、CAD利用技術者試験に合格すると、図面の管理や修正業務ができるようになり、建設事務の中でも専門性の高いポジションを狙えます。
建設事務に役立てられる資格5選

建設事務の仕事では、事務処理や経理業務、図面の管理など幅広いスキルが求められます。実務経験を積むことも大切ですが、資格を取得することで専門知識が身につき、キャリアアップや給与アップにつなげられます。ここでは、建設事務に役立つ資格を5つ紹介します。
建設業経理検定試験
建設業経理検定試験(旧:建設業経理士試験)は、建設業界に特化した経理スキルを証明できる資格です。建設業では、通常の会計とは異なる「建設業会計」が適用されるため、この資格を取得すると、工事原価の計算や経費管理に関する知識を持っていると証明できます。
2級以上を取得すると、経理業務の即戦力として評価されやすく、給与アップや転職時のアピールポイントになります。1級を取得すると、財務諸表の作成や経営分析のスキルを活かし、管理職への道も開けるでしょう。
建設業経理事務士試験
建設業経理事務士試験は、建設業経理検定試験と同様に建設業界の経理知識を証明する資格ですが、より基礎的な内容となっています。建設業界で経理業務を始めたばかりの方や、経理未経験で建設事務に転職を考えている方におすすめです。
試験では、建設業会計の基礎、工事原価計算、請求書や帳簿の管理などが問われるため、資格取得を通じて実務に役立つ知識を得ることができます。
日商簿記
日商簿記は、会計の基本を学べる資格で、建設事務だけでなく、一般事務や経理職全般で役立ちます。特に2級以上を取得すると、企業の財務状況を把握し、経理処理をスムーズに行えるスキルを証明できます。
建設業界では、会計業務に建設業特有の知識が求められますが、簿記の基本を理解していると、建設業経理の勉強もスムーズに進められます。建設業経理検定とあわせて取得すると、より専門性の高いキャリアを築けるでしょう。
建築CAD検定
建築CAD検定は、建築設計や施工図の作成スキルを証明できる資格です。建設事務では、施工図や設計図の管理・修正を任されることがあり、CADの操作ができると業務の幅が広がります。
この資格は建築業界の専門的な知識がある証明にもなり、未経験からでも建設事務に採用されやすくなります。また、建設事務として働く中でCADのスキルを磨けば、将来的に設計補助業務に携わるチャンスもあるでしょう。
▼あわせて読みたい
CAD利用技術者試験
CAD利用技術者試験は、建築や土木、機械設計など幅広い分野で活用できる資格です。特に、建設事務として図面の確認やデータ整理をする際に、基本的なCADの知識があると業務がスムーズに進みます。
試験には1級・2級・基礎試験があり、2級以上を取得すると実務での活用が期待できます。建設事務として働きながらCADスキルを身につけることで、専門性を高め、より高い時給や給与を目指すことも可能です。
▼あわせて読みたい
CADのスキルを資格取得に役立てたいなら派遣・転職はアットキャドへ

アットキャドは、業界トップクラスの求人数を持つ、CADオペレーターやBIMオペレーターに特化した人材派遣・人材紹介サービスです。
20年以上の実績を持ち、スーパーゼネコンや大手設計事務所を含む2,600社以上と取引実績があり、業界トップクラスの求人数を誇ります。自社に設計部を設けているため、実際に図面を描くプロフェッショナルが在籍し、迅速なサポートが可能です。
研修制度も充実しており、初心者から経験者まで幅広く対応。登録から就業後まで徹底したフォローを行いますので安心してお仕事を探すことができます。
さらに、業界トップクラスの求人数があることから、転職のサポートも行っています。未経験からCADオペレーターやBIMオペレーターになりたい場合や、CADオペレーター・BIMオペレーターとしてキャリアアップしたい場合など、さまざまなケースに対応しているので、ぜひお気軽にご相談ください。
CADを学んで建設業界を目指すならCADビギへ

アットキャドが提供する「CADビギ」は、未経験者でも安心してCADを学べる無料の研修サービスで、AutoCADのソフトの使い方を習得したい方におすすめです。
実務経験豊富な講師が10日間で基礎から丁寧に指導し、建築基礎やCAD作図法を習得できます。卒業生は多くの分野で活躍しており、同期や先輩とのサポート体制も充実しています。
研修中にアットキャドから就業先を紹介してくれる点や、就業先の要望があればそれに合わせて研修ができるため、キャリアアップやキャリアチェンジを目指す方に最適です。受講者からは、効率的な学びと実務での即戦力化が高く評価されています。
これからCADスキルを身につけたい方は、「CADビギ」で新たな一歩を踏み出しましょう。
まとめ
建設事務は、性別やキャリアを問わずチャレンジしやすい職種ではありますが、さまざまな知識や資質が求められることも事実です。それも、建設業界で求められる資格を取得していれば、幾分働きやすさを感じられるでしょう。
建設事務に挑戦してみたいとは思うものの、経験がなく不安という方は、ぜひCADビギの受講や資格の勉強をスタートして、CADに必要なスキルを習得してみてはいかがでしょうか。建設業界で就職活動を行う際にも、優位に進められる可能性があります。

