派遣社員でも産休は取れる?制度・条件・手続きをわかりやすく解説

派遣社員でも産休は取れる?制度・条件・手続きをわかりやすく解説

日本における共働きの世帯割合は年々増加しており、2025年に総務省統計局が発表した「労働力調査」では、夫婦のいる世帯全体の約7割にまで達しています。働き方が多様化する現代、派遣社員として働きながら、産休を取得したいと考えている方も多いのではないでしょうか。

しかし、正社員よりも雇用が不安定な派遣社員が本当に産休を取れるのか、不安に感じている方も少なくありません。

そこで、この記事では、派遣社員が産休を取れる条件から注意点、さらには産休を取りやすい派遣会社選びまでを、よくある質問を交えて徹底的に解説します。

参考:労働力調査(基本集計) 2024年(令和6年)平均結果|総務省統計局

目次

派遣社員でも産休を取得できるって本当?

派遣社員でも産休を取得できるって本当?

派遣社員として働いていると、「正社員のように産休が取れるの?」という不安を感じる方も多いかもしれません。しかし、たとえ雇用形態が違っていても、出産に伴う産前産後休業は法律で保障された労働者の権利です。

ここでは、派遣社員が産休を取得できる根拠や、手続きを行う際に押さえておきたいポイントについてわかりやすく解説します。

産前産後休業はすべての労働者に認められた権利

派遣社員であっても、出産に際して「産前6週間・産後8週間」の休業を取得する権利があります。これは雇用形態に関係なく、労働基準法によって定められた制度です。勤務先が派遣先企業であっても、雇用契約は派遣元(派遣会社)と結んでいるため、産休の申請や手続きは派遣元に対して行わなければなりません。

厚生労働省のホームページには、有期雇用労働者の育児休業や介護休業に関する情報が公開されていますので、一度目を通してみることをおすすめします。

参考:有期雇用労働者の育児休業や介護休業について

派遣社員には「派遣元」の対応が義務

派遣社員は、派遣先の企業で日々の業務を行っていますが、雇用契約を結んでいるのは派遣元である派遣会社です。そのため、産休の取得や出産手当金の申請など、各種手続きはすべて派遣元を通じて行う必要があります。

派遣先の産休取得に対する姿勢は気になりますが、制度の運用責任を負うのはあくまで派遣元です。業務上の調整は派遣元と派遣先の間で行われるため、個人で派遣先に事情を説明したり、許可を得たりする必要はありません。

派遣元によっては、産前産後休業中の手当申請の案内や書類のサポートなども行っているため、もし妊娠して出産予定日がわかったら、早めに担当者へ相談しましょう。

産休を取得するための条件とは?

産休を取得するための条件とは?

産前産後休業は、法律で認められた制度ですが、派遣社員として利用するにはいくつかの条件を満たしている必要があります。

特に重要なのは、契約期間と出産予定日の関係です。この章では、産休を取得するために確認しておきたい具体的な条件や注意点について解説します。

契約期間中に出産予定日が含まれる

産休の取得は、雇用関係が継続している点が前提になります。つまり、契約期間の最中に出産予定日が含まれていれば、取得が可能になります。

反対に、契約終了日が出産予定日より前に設定されている場合、そのままでは産休を取得できない可能性があります。このような場合は、派遣会社に相談して契約延長の交渉をしてもらわなければなりません。

産休取得を理由に契約打ち切りはできない

妊娠や出産を理由に契約を打ち切ることは、男女雇用機会均等法に違反する行為とされ、いわゆる「マタハラ(マタニティハラスメント)」に該当する場合もあります。

例えば、妊娠を報告した直後に、派遣元から「契約更新はしない」と伝えられたケースがあります。この場合、形式上は契約満了でも、産休取得が理由であれば男女雇用機会均等法に違反する可能性があるのです。

こうしたトラブルに遭ったら、まずは派遣元に理由の説明を求めましょう。証拠として、やり取りを記録しておくのも有効です。必要に応じて労働局へ相談すれば、法的観点からのサポートも受けられます。

派遣社員であっても、産休の取得を理由に不利益な扱いを受けることは許されません。不当な契約終了の兆しがある場合は、公的機関に相談することを検討しましょう。

参考:職場における妊娠・出産・育児休業・介護休業等に関するハラスメント対策やセクシュアルハラスメント対策は事業主の義務です!!

産休取得中に気になるサポート・お金の事情

産休取得中に気になるサポート・お金の事情

産休期間中は働くことができないため、生活費や出産費用に不安を感じる方も少なくありません。しかし、派遣社員でも条件を満たしていれば、出産手当金や出産育児一時金といった公的なサポートを受けることが可能です。

この章では、産休中に利用できる制度の内容や支給額の目安、申請方法について詳しく紹介します。

出産手当金の支給条件と申請方法

出産手当金とは、出産に伴って仕事を休む間の生活を支える制度のことで、健康保険に加入している人が対象です。派遣社員であっても、派遣元の社会保険に加入していれば受給可能です。

手当金は、加入期間の長さにかかわらず、出産のために仕事を休む期間に給付されます。申請は派遣元を通じて、加入先の健康保険組合や協会けんぽへ行う必要があります。

支給額の目安と支給期間

支給額は「標準報酬日額の約3分の2×日数分」で計算され、基本的には産前42日間・産後56日間の計98日分が支給対象となります。たとえば、1日あたりの標準報酬日額が8,000円の方であれば、1日あたり約5,300円、98日で約52万円程度が支給される計算です。

出産育児一時金の確認は必須

出産にかかる医療費を補助する制度としては「出産育児一時金」があり、健康保険に加入している方に一律50万円(産科医療補償制度加入機関で出産の場合)が支給されます。通常であれば、医療機関へ直接支払われる「直接支払制度」が利用されるため、基本的には立て替えの必要がありません。

派遣社員が育休取得できる条件と注意点

派遣社員が育休取得できる条件と注意点

産休のあとも仕事を続けたいと考える方にとって、育休の取得は大きなポイントです。派遣社員でも条件を満たせば育休を取得できますが、契約期間や雇用保険の加入状況によっては難しい場合もあります。

ここからは、育休を取得するための具体的な条件や注意点について解説します。

1年以上の継続雇用見込みがカギ

育児休業の取得には、以下の2つの条件を満たしている必要があります。

  • 雇用保険に加入していること
  • 子の1歳の誕生日まで雇用が見込まれていること

派遣社員の場合、契約期間に制限があることが多いため、1年以上の雇用見込みがあるかどうかが重要になります。無期雇用派遣や長期前提の紹介予定派遣などであれば、比較的取得しやすい傾向にあります。

ただし、入社1年未満の労働者を育休の対象から除外するという労使協定が締結されている場合は、雇用期間が1年未満の人は対象外となるため、事前確認が必要です。

育休給付金の受給条件と金額

育休期間中には「育児休業給付金」が支給されます。支給額は開始から180日までは「休業開始時賃金の67%」、それ以降は50%が目安です。

支給は2ヵ月ごとの申請で行われ、ハローワークが窓口となります。産休からスムーズに育休に入るためには、事前準備とタイミングが重要です。

育児休業等給付に関する質問は、厚生労働省がQ&A方式で解説しているので、ホームページを参考にしてください。

参考:Q&A~育児休業等給付~|厚生労働省

派遣社員が産休・育休を取得する際のポイント

派遣社員が産休・育休を取得する際のポイント

制度として産休・育休が用意されていても、実際に取得・活用するには、事前の準備や派遣会社との連携が欠かせません。特に派遣社員の場合は、契約期間や就業先の状況に左右されやすいため、早めの行動と情報収集が重要です。

ここからは、産休・育休をスムーズに取得するために押さえておきたい実務的なポイントをご紹介します。

産休に入る前の準備を適切に行う

産休をスムーズに取得するためには、出産予定日が決まった段階でできるだけ早く派遣会社に相談することが大切です。体調の変化や通院の頻度が増えてくる前に、スケジュールや手続きを整理しておくと安心です。

そのために、まずは派遣元に「産休取得の意思」を伝え、母子健康手帳の写しや出産予定日が記載された証明などの書類を提出して、申請の流れを確認します。派遣会社によっては、フォーマットや記入方法に指定がある場合もあるため、担当者との連携が重要です。

派遣先に対しては、派遣元が業務調整や引き継ぎの相談を行いますが、自分自身でも「担当業務の整理」や「引き継ぎ資料の準備」などを意識して進めておくと、心証が良くなります。安心して産休に入るためにも、心身の準備と情報共有を計画的に進めましょう。

産休明けの働き方を考えておく

派遣社員の場合、産休明けに同じ職場に復帰できる保証はありません。そのため、派遣会社との面談を通じて、復帰後の就業先や働き方について相談しておくと安心です。

時短勤務や在宅勤務など、柔軟な働き方に対応している企業を紹介してもらえる可能性もあります。

産休・育休制度が整った派遣会社を選択する

産休・育休の制度自体は法律で定められていますが、その運用やサポート体制には派遣会社ごとに違いがあります。特に初めて制度を利用する場合、派遣会社の担当者の説明の丁寧さや、手続きのサポートが充実しているかといった点が安心材料になります。

また、過去に制度を利用した社員の有無や、産休・育休後の復職実績なども、会社選びの大切な判断材料です。近年では、無期雇用派遣や紹介予定派遣など、長期的なキャリア設計を支援してくれる会社も増えています。

出産後も安定して働き続けたい方は、こうした制度面の整備された派遣会社を選ぶことで、より安心して仕事と家庭を両立できる環境を整えられるでしょう。

派遣社員の産休でよくある質問とトラブル対策

派遣社員の産休でよくある質問とトラブル対策

産休制度は法律で保障されたものですが、派遣社員として働く中では「制度通りにいかないのでは?」と不安を感じる場面もあるかもしれません。

ここでは、実際に起こりやすいトラブルやよくある質問を取り上げながら、対処法や相談先をわかりやすくQ&A方式で解説します。

契約期間中に産休を取ろうとしたところ、契約更新を打ち切られそうです。これは違法ではないのでしょうか?

妊娠や産休取得の申し出を理由に契約更新を打ち切ることは、男女雇用機会均等法に抵触する可能性があります。派遣社員であっても、妊娠・出産を理由とした不利益な取り扱い(いわゆるマタハラ)は禁じられており、契約更新の判断に影響するのはNGです。

まずは、派遣元に「なぜ契約を更新しないのか」明確な理由を確認しましょう。言動や対応の記録を残しておくと、後から相談する際に役立ちます。

納得できない場合は、都道府県労働局の雇用環境・均等部門に相談することをおすすめします。

派遣元に申請した書類の対応が遅く、不安に感じています。どうすればよいでしょうか?

出産手当金や産前産後休業の申請には、提出書類や期日が定められており、派遣元の対応が遅れると支給までの時間が延びてしまう可能性があります。こうした場合は、まず担当者に連絡し、書類の進捗状況や提出予定日を確認しましょう。

派遣元によっては申請フローが複雑であるため、自分でも手続きの流れを把握しておくことが大切です。加入している健康保険組合や協会けんぽに直接問い合わせるのも良いでしょう。

不安を抱えたままにせず、早めに行動することで安心して産休を迎えられます。

産休から復帰しようとしたところ、「同じ職場には空きがない」と言われました。こんなことはあるのでしょうか?

派遣社員の場合、産休後に必ずしも同じ派遣先で復職できるとは限りません。契約はあくまで期間限定のものであり、派遣先の都合によってはポジションが埋まっているケースもあります。

ただし、派遣元には就業機会の提供義務があります。復帰を希望する際には、あらかじめ派遣元と「いつから復職したいか」「どのような働き方を希望するか」を相談し、新たな勤務先を提案してもらっている人も少なくありません。

育児と両立しやすい条件で紹介を受けられる場合もあるため、柔軟な働き方の選択肢も視野に入れておきましょう。

産休を取りやすい派遣会社の特徴

産休を取りやすい派遣会社の特徴

産休制度はすべての労働者に認められているものですが、実際に取得しやすいかどうかは派遣会社によって差があります。安心して産休を取得したいと考えるなら、制度の説明が丁寧で、取得実績や復職支援のある派遣会社を選ぶことが重要です。

この章では、産休取得者が多い派遣会社に共通する特徴を紹介します。

女性比率が高い職種に強い

事務職や医療・福祉、CADオペレーターなど、女性の比率が高い職種に強い派遣会社は、一般的に産休取得の実績も豊富です。こうした会社では制度利用者が多く、社内の対応ノウハウやサポート体制が整っている傾向にあります。

豊富な選択肢を用意している

「育児と両立しながら長く働きたい」と考えている方にとって、無期雇用派遣や紹介予定派遣といった安定した働き方を提案してくれる派遣会社は心強い存在です。このような派遣会社に登録し、紹介してもらうことでライフイベントを前提としたキャリア設計がしやすくなります。

キャリア相談に積極的である

産休・育休に関する情報提供や手続きサポート、復職相談など、具体的な支援体制があるかどうかは、派遣会社を選ぶうえで重要なチェックポイントです。

登録時や面談時に「制度の説明が丁寧かどうか」「相談できる窓口があるかどうか」を確認するとよいでしょう。

CADのスキルを役立てられる派遣・転職はアットキャドへ

CAD派遣でお仕事探すならアットキャド

共働き世帯が一般化したことで、産休を快く受け入れる派遣会社が増加しています。その中でも、事務職やCADオペレーターなど、女性から人気の求人が多い派遣会社は、産前産後休業の取得実績が豊富で安心できます。

アットキャドは、業界トップクラスの求人数を持つ、CAD事務やCADオペレーターに特化した人材派遣・人材紹介サービスです。2024年4月時点の登録者数は男性199名、女性236名で、多くの女性に活躍できる職場をご紹介しています。

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まとめ

派遣社員であっても、産休や育休は法律で認められた大切な権利です。取得のためには契約や保険の条件を満たす必要がありますが、正しく理解し、事前に準備を進めておけば、安心して出産・育児と仕事を両立することができます。

今後のキャリアや働き方に不安を感じている方は、「CADビギ」で制度の知識やスキルを身につけたり、「アットキャド」で自分に合った求人を探したりすることから始めてみてはいかがでしょうか。ライフイベントと両立しながら、自分らしく働ける環境がきっと見つかるはずです。

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