「BIM(Building Information Modeling)ソフトを購入したいけど、何を選んだらいいのかわからない」「使う目的に合ったソフトを選びたい」などとお考えの方は多いのではないでしょうか。さまざまなメーカーから販売されているBIMソフトを選ぶ際には、機能や価格を比較して総合的にベストと思うものを選びましょう。
本記事では、主要な8つのBIMソフトをさまざまな観点から比較し、その特徴を紹介しています。これからBIMソフトを購入する方、すでに購入経験があり、新しいものを購入したいと考えている方はぜひ参考にしてください。
目次
BIMソフト選びの基本!失敗しないための4つの重要基準

建築・土木の設計プロセスにおいて、BIMソフトの選定は業務の成果や効率に大きく影響するものです。BIMは単なる3次元モデリングツールではなく、設計・施工・維持管理までのデータを統合・共有するプラットフォームとなるため、ソフト選びの基準を明確にすることが重要です。
ここでは 失敗しないための4つの重要なポイント を解説します。
ソフトを使う目的
BIMソフト選びの第一歩は、「何のために使うのか?」という目的の明確化です。単に3Dモデルを作成するだけでなく、設計情報の共有・干渉チェック・数量積算・工程管理など、 活用したい機能や成果を具体化する必要があります。
たとえば、設計段階でのプレゼン用途なのか、大規模プロジェクトでの連携・施工管理まで見据えるのかによって、最適なソフトは変わります。
また、目的が明確であれば、必須機能の有無や優先すべき性能を判断しやすくなり、不要な機能にコストをかけるリスクも減ります。目的と用途に応じた機能を備えたソフトを選ぶように心がけましょう。
連携性とデータ互換性
BIMとは、関係者同士でデータを共有しながらプロジェクトを進めるプロセス全体を指す考え方です。そのため、ソフトの連携性とデータ互換性は極めて重要な選定基準になります。
異なるソフト間でデータをやり取りする際には、汎用フォーマットとしてなどの標準フォーマットへの対応が鍵となります。これにより、設計段階から施工・維持管理までの情報の一貫性が確保され、他の専門分野や部署、外部パートナーとの協調作業がスムーズになります。
また、ソフト単体だけでなく、クラウド環境や共通データ環境(CDE)との連携も考慮することで、プロジェクト全体の情報共有プラットフォームとしての整合性を高めることができます。
習熟度と操作性
BIMソフトは従来の2D CADと比べると扱う情報量が多く、操作も複雑になりがちです。そのため、ソフトの習熟度や操作性は、導入成功に大きく影響します。
直感的な操作性を重視しているソフトウェアもありますが、基本的には一度覚えた操作やBIMの考え方を継続的に使えるソフトが理想的です。また、BIMデータを複数の担当者が扱えるように、チーム全体で同じルールや共通の知識を持つ必要があります。
もし、担当者全員が同じ理解・操作レベルに到達していなければ、データの品質や共有時のトラブルを引き起こしかねません。それも教育サポートやトレーニング、操作デモなどを十分に確認してから選定すると、導入もスムーズになるはずです。
コストと運用形態
BIMソフトの価格体系は、ソフト本体のライセンス費用以外にも、 サブスクリプション料金や追加モジュール費用、保守サポート費用など複数の要素が存在します。一般的に、BIMソフトはサブスクリプション形式が主流ですが、永久ライセンス制や従量課金制を採用しているソフトも少なくありません。
初期費用だけでなく年間の運用費、バージョンアップ更新料、教育・サポート費用なども合わせて総合的に判断するようにしましょう。在住の自治体や企業によっては補助金や助成金が利用できるケースもあるため、購入前に確認しておくことをおすすめします。
目的別!BIMソフトの主要8製品を徹底紹介

BIMソフトには、それぞれ得意とする分野があり、設計用途も異なります。ここからは、意匠・構造・設備の設計目的別に、主要BIMソフト8製品それぞれの特徴をわかりやすく解説します。
意匠設計に強いソフト
| ソフト名 | 得意な意匠表現・強み | データ連携の考え方 | 日本語サポート | 習得難易度 | 外部連携・拡張性 | こんな人におすすめ |
| Archicad | 自由度の高い意匠モデリング | IFC標準に忠実。他社BIMと連携しやすい | ◎ 導入・教育が充実 | ★★☆☆☆ (比較的易しい) | ◎ 設計〜施工連携に強い | 意匠重視・他分野連携も視野に入れたい設計者 |
| Revit | 意匠+構造+設備の統合設計が可能 | 自社製品連携が最強。IFCは補助的 | ○ 情報量は多い | ★★★★☆ (習得に時間がかかる) | ◎ Autodesk製品と強力連携可能 | 大規模・複合プロジェクトを扱う設計者 |
| Vectorworks Architect | デザイン・図形表現が強い | IFC対応だが設計用途中心 | ◎ 国内向けサポートあり | ★★☆☆☆ (専門知識が必要) | ○ 表現・プレゼンに特化 | デザイン性・操作感を重視したい人 |
「データ連携の考え方」欄にあるIFCとは、違うBIMソフト同士で建物データを共有するためのいわば「共通ルール」です。意匠・構造・設備で別々のソフトを使っていても、IFCに対応していれば同じ建物モデルとして情報をやり取りできます。
そのIFC対応が弱いと、形が崩れたり情報が抜けたりすることもあります。複数の会社や分野でBIMを使う場合は、IFCへの対応度が高いソフトを選ぶと安心です。
ArchiCAD

ArchiCADは、意匠設計領域で長年支持されてきたBIMソフトです。直感的な操作感と豊富な意匠モデリング機能は、デザイン表現や空間構成を重視する設計者から人気があります。
また、IFCなどの標準データ形式にも対応していて、他ツールとの連携も比較的スムーズです。国内でも導入実績が豊富で、教育リソースも充実しています。
Revit (Autodesk)

RevitはBIMの代表格ともいえるソフトで、意匠設計でも強力なモデリング機能を持ちます。建築・構造・設備という大規模プロジェクト全体の情報統合を想定した設計環境が特徴です。
意匠だけでなく、プロジェクト全体の設計データとして活用したい設計者からも選ばれているBIMソフトです。
Vectorworks Architect

Vectorworks Architectは、特に意匠設計の表現力が高く、デザイン重視の設計者から評価されているソフトです。直感的な操作性や2D・3D両面の設計対応、柔軟な図形編集と機能性が高く、建築デザインの表現力に強みがあります。
また、BIM機能だけでなくさまざまなプレゼンテーション用途にも対応可能です。
構造設計に強いソフト
| ソフト名 | 得意な意匠表現・強み | データ連携の考え方 | 日本語サポート | 習得難易度 | 拡張性 | こんな人におすすめ |
| Tekla Structures | 鉄骨・RCの詳細構造モデル | IFCを通じ意匠BIMと連携可能 | ○ 専門サポートあり | ★★★★★ (専門知識必須) | ◎ 施工・製作まで拡張可能 | 構造・施工情報をBIMで一貫管理したい人 |
| GLOOBE Architect | 日本基準に沿った構造連携が可能 | IFC対応・国内ワークフロー向け | ◎ 日本語対応が強い | ★★★☆☆ | ○ 国内基準に最適 | 国内案件・法規対応を重視する設計者 |
Tekla Structures

Tekla Structuresは、構造設計と施工情報のBIMモデリングに特化した業界標準ソフトです。鋼構造やコンクリートの詳細な解析とモデリング、また施工段階の部材情報の管理もできるため、大規模構造物の設計・施工両面に強みがあります。
意匠よりも構造解析・施工情報を重視するプロジェクトを扱う機会が多い方におすすめです。
GLOOBE Architect

GLOOBEは国内市場特化型で、日本の設計基準や図面様式に最適化されているBIMソフトです。構造設計と連携したモデリングが容易で、法規対応や申請図作成にも対応できるため、構造中心の設計ワークフローにも使われています。
日本語サポートが充実している点も、日本で使う方にとっては大きなメリットです。
設備造設計に強いソフト
| ソフト名 | 得意な意匠表現・強み | データ連携の考え方 | 日本語サポート | 習得難易度 | 拡張性 | こんな人におすすめ |
| Rebro | 設備専用で実務に直結 | IFCで建築BIMと連携可能 | ◎ 国内設備向けのサポートが充実 | ★★☆☆☆ | ◎ 設備BIMに特化 | 設備設計を主軸にBIM化したい人 |
| Revit MEP | 建築・構造と統合設備設計が可能 | Revit内連携が最強 | 〇 | ★★★★☆ | ◎ 総合BIM向け | 建築・設備を一体で扱うプロジェクト担当者 |
| CADWe'll Tfas | 配管・ダクト設計に強い | IFCでBIM連携可能 | ◎ 国内設備に特化 | ★★☆☆☆ | ○ 設備BIM導入向け | 設備CADからBIMへ移行したい人 |
Rebro

Rebroは、日本国内での設備設計に強いBIMソフトです。設備モデルの作成・配管・ダクトなど、設備特有の情報管理に対応していて、設備設計者にとって使いやすい機能群を備えています。
国内でのサポート体制や教育リソースも整っているため、設備専用BIMとして選択する方が少なくありません。
Revit MEP (Autodesk)

Revit MEPは、Revitの設備設計に特化したモジュールです。建築モデリングと設備設計をひとつのプラットフォームで統合できるため、建築・設備・構造の連携を密にしながらBIMを運用したい設計者にとって強力なツールとなります。
複雑な設備情報や配管・空調システムの設計をBIMで包括的に扱いたい場合には最適なソフトです。
CADWe'll Tfas

空調・衛生・電気設備の設計に特化したソフトを選ぶなら、CADWe'll Tfasもおすすめ。国内向け設備CADで、2D作図と3D表示を一体的に扱えることが特徴です。複雑な配管・ダクトのルート検討や干渉チェックを効率よく行えるため、設備設計の実務で幅広く利用されています。
IFCデータ連携にも対応しており、建築モデルとの整合を取りながらBIMワークフローに組み込める点も強みです。
BIMソフト8製品の比較一覧

| ソフト名 | 得意な意匠表現・強み | データ連携の考え方 | 日本語サポート | 習得難易度 | 外部連携・拡張性 | こんな人におすすめ |
| Archicad | 自由度の高い意匠モデリング | IFC標準に忠実。他社BIMと連携しやすい | ◎ 導入・教育が充実 | ★★☆☆☆ (比較的易しい) | ◎ 設計〜施工連携に強い | 意匠重視・他分野連携も視野に入れたい設計者 |
| Revit | 意匠+構造+設備の統合設計が可能 | 自社製品連携が最強。IFCは補助的 | ○ 情報量は多い | ★★★★☆ (習得に時間がかかる) | ◎ Autodesk製品と強力連携可能 | 大規模・複合プロジェクトを扱う設計者 |
| Vectorworks Architect | デザイン・図形表現が強い | IFC対応だが設計用途中心 | ◎ 国内向けサポートあり | ★★☆☆☆ (専門知識が必要) | ○ 表現・プレゼンに特化 | デザイン性・操作感を重視したい人 |
| Tekla Structures | 鉄骨・RCの詳細構造モデル | IFCを通じ意匠BIMと連携可能 | ○ 専門サポートあり | ★★★★★ (専門知識必須) | ◎ 施工・製作まで拡張可能 | 構造・施工情報をBIMで一貫管理したい人 |
| GLOOBE Architect | 日本基準に沿った構造連携が可能 | IFC対応・国内ワークフロー向け | ◎ 日本語対応が強い | ★★★☆☆ | ○ 国内基準に最適 | 国内案件・法規対応を重視する設計者 |
| Rebro | 設備専用で実務に直結 | IFCで建築BIMと連携可能 | ◎ 国内設備向けのサポートが充実 | ★★☆☆☆ | ◎ 設備BIMに特化 | 設備設計を主軸にBIM化したい人 |
| Revit MEP | 建築・構造と統合設備設計が可能 | Revit内連携が最強 | 〇 | ★★★★☆ | ◎ 総合BIM向け | 建築・設備を一体で扱うプロジェクト担当者 |
| CADWe'll Tfas | 配管・ダクト設計に強い | IFCでBIM連携可能 | ◎ 国内設備に特化 | ★★☆☆☆ | ○ 設備BIM導入向け | 設備CADからBIMへ移行したい人 |
主要8製品には、それぞれ意匠・構造・設備といった得意分野があり、用途に合わせて選びやすくなっています。多くのソフトがIFCに対応しているため、基本的な連携は安心ですが、実際の使いやすさは国内サポートの充実度や操作性で差が出るものです。
汎用的に使いたい場合はRevit、意匠寄りならArchicadやVectorworks、国内事情に合った運用をしたいならGLOOBEやRebroが候補に挙がりやすいといえます。
ユーザー別!おすすめのBIMソフト

各BIMソフトには、得意分野や向いているユーザー層があり、自分の立場や目的によって最適な選択が変わってきます。ここでは、建築学生、設計事務所スタッフ、建設会社・不動産の社員といった3つの立場ごとに、特に相性の良いソフトを紹介します。
日々の業務内容や将来のキャリアをイメージしながら、自分に合ったBIMソフトを選ぶ参考にしてみてください。
建築学生
建築学生の方は、まず扱いやすく学習しやすいArchicadやVectorworks Architectがおすすめ。どちらも直感的に操作しやすく、意匠表現の幅が広いため、課題制作やポートフォリオ作成との相性が良いソフトです。
Revitはやや習得に時間がかかりますが、企業での導入例が増えているため、将来の就職を見据えて学び始める学生も増えてきています。
設計事務所スタッフ
設計事務所で働く方は、実務の作業内容に合わせてBIMソフトを選びましょう。意匠設計が業務の中心であれば、自由度の高いArchicadやVectorworks Architectが使いやすく、IFC連携を活かせば他部門とのデータ交換もスムーズに行えます。
一方、プロジェクト全体のBIMワークフローを構築するのであれば、拡張性が高く、多部署との連携に強いRevitの導入を検討してみるのも一つの手です。
建設会社・不動産の社員
建設会社や不動産のBIM運用では、構造・設備との調整や業務効率化が求められます。そのため、構造分野に強いTekla Structuresや、国内基準に最適化されたGLOOBE Architectなどが実務に適しています。
設備を扱う部署に所属していたり、協議が多い部署で働いていたりすれば、設備専用のRebroや、他部署との連携力が高いRevit MEPが有力候補になりえます。
そのなかでも、Revit全般は建設会社の導入事例が豊富で、社内外とのデータ共有にも強いのが特徴です。
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まとめ
本記事では、主要BIMソフト8製品の特徴や比較ポイント、さらにユーザー別のおすすめソフトを紹介しました。
用途や業務内容によって最適なソフトは異なります。自分の立場や目的に合ったBIMツールを選ぶことで、設計効率や業務の質を大きく向上させることができます。
ぜひ気になるソフトに実際に触れてみて、自分の業務や学習スタイルに最適なBIMツールを見つけてみてください。
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